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オシロの多彩なトリガ機能を使いこなそう知っていれば必ず役に立つ(1/4 ページ)

今日のDSOには、比較的単純なエッジトリガ、もっと複雑なスマートトリガ、そして、さらに高度な拡張トリガが搭載されています。これらマルチトリガの使い方を見ていきましょう。

» 2018年06月07日 11時00分 公開
[Arthur PiniEDN Japan]

 筆者がその昔、専門的に使用した最初のオシロスコープは旧式の同期掃引計測器でした。そうしたオシロスコープで波形を安定表示するには、いわゆる職人技が必要でした。現在では、最も汎用的で基本的なオシロスコープでも多様なトリガーツールを利用できるようになっています。

 オシロスコープのトリガーは、オシロスコープのタイムベースを入力信号に同期させることにより、安定した表示を実現しています。アナログオシロスコープでは、トリガーによって掃引発生器が始動し、それによって、水平掃引が垂直信号に同期することになります。

 デジタルストレージオシロスコープ(DSO)では、別の方法で同じ効果を実現しています。DSOでは、デジタイザ(A-Dコンバーター)が連続的に動作し、その一方でトリガーイベントが捕捉メモリ内の相互に関連しあったデータを指示し、表示や計測、さらには、その後の処理に使う信号データを固定化しています。

 今日のDSOには、比較的単純なエッジトリガー、もっと複雑なスマートトリガー、そして、さらに高度な拡張トリガーが搭載されています。これらマルチトリガーの使い方を見ていきましょう。

エッジトリガー

 エッジトリガーは最も一般的なトリガー方法です。エッジトリガーでは、入力波形がトリガーしきい値レベルを事前設定の傾き(正、負あるいは両方)でクロスした時に、オシロスコープのトリガーが働きます。トリガーにヒステリシスがあると、オシロスコープのトリガー作動条件として、信号がヒステリシス幅を超えて遷移することが必要になるので、ノイズ耐性が得られます。ほとんどのオシロスコープでは、垂直軸単位の0.3から0.5のヒステリシスレベルが使われています。

 トリガーソースには、入力チャンネル、外部トリガー入力、ライン電力および、一部では組み込み高速エッジ信号が使われます。各ソースの傾き、極性、トリガーしきい値は、他のソースとは個別に設定できます。図1は代表的なミドルレンジオシロスコープのエッジトリガー設定を示しています。

図1:エッジトリガー設定要素にはトリガーのソース、レベル、傾き、カップリングが含まれます(クリックで拡大)

 エッジトリガーの設定では、ソース、トリガーレベル、傾きに加え、カップリング条件としてACあるいはDCカップリングを低周波数域または高周波数域の除去を含めて設定できます。

 周波数選択カップリングパスを使うと、不要信号を減衰させることができます。低周波数除去ではトリガー信号パスに50kHzハイパスフィルターを挿入し、高周波数除去では50kHzローパスフィルターを使用します。このような周波数選択カップリングモードは、スイッチングモード電源のトラブルシューティングなどの用途に利用されます。高周波数除去では電源関連の信号をトリガーしやすくなり、一方、低周波数除去ではスイッチングレギュレーター信号にトリガーするのが簡単になります。

 オシロスコープの中には、「Find Level」ボタンが備えられ、そのボタンを押すと現在のトリガーソースのトリガーレベルが自動表示されるものもあります。トリガーアイコン(図1の右側)も便利で、トリガー設定条件がまとめて表示されています。

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