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オシロの多彩なトリガ機能を使いこなそう知っていれば必ず役に立つ(3/4 ページ)

» 2018年06月07日 11時00分 公開
[Arthur PiniEDN Japan]

除外トリガー

 除外トリガーでは、「波形異常にはトリガーするが、通常波形にはトリガーしない」ようにできます。これは、「範囲外」というトリガー条件を利用するスマートトリガーをベースとするものです。除外トリガーは波形異常やグリッチを検出するのに便利です。除外トリガーを利用する主な利点は、このトリガーが計測が容易な公称波形特性を基準として使用するので、異常に関する情報が不要なことです。

 図4は、公称幅48ナノ秒、周期250ナノ秒というクロック波形の一例を示しています。除外トリガーは、「通常」パルスへのトリガーを防止し、それら通常パルスとは異なるパルス、つまり異常パルス、にトリガーするよう設定できます。除外トリガーでは、オシロスコープはトリガー条件が満足されない限りデータを捕捉しません。異常データの取得は、オシロスコープのデータ更新速度に依存することなく実行されます。

図4:幅基準の除外トリガーを利用することにより、クロック信号中の異常パルスを発見できます。オシロスコープは公称パルス幅48マイクロ秒とは異なる幅のパルスにトリガーします(クリックで拡大)

 パルス幅パラメータは、クロック信号の平均幅(この例では48マイクロ秒)を確定するために利用されます。この値を、除外トリガーの基本条件として利用します。ここでのパルス幅トリガーは、「パルス幅が公称値48マイクロ秒から、±800ピコ秒の範囲外にある」という条件に設定されています。その結果、公称値から少なくとも800ピコ秒のずれがあるパルスだけが、オシロスコープのトリガーにかかるということです。

捕捉後トリガー

 捕捉完了後に動作する特殊なトリガーを備えたオシロスコープも多数あります。例えば、デジタルあるいはソフトウェアトリガー、ゾーントリガー、計測トリガーなどが挙げられます。この種のトリガーは、オートトリガー機能によって波形を取得し、さらに、このデータ捕捉に続いて、データの中から必要なトリガー条件を探し出します。トリガー条件が見つかれば、波形表示はトリガーイベントの位置をオシロスコープトリガー指示ポイントに合致するようシフトします。

計測トリガー

 計測トリガーを利用すると、計測結果を基にオシロスコープのトリガーを作動させることができます。任意のオシロスコープ計測パラメータを利用できます。特定の計測値にトリガーするための計測条件として「〜未満」「〜以上」「範囲内」「範囲外」「条件なし」が適用可能です。オシロスコープは、最初にデータを取得し、計測条件が観測されると、計測位置をトリガー指示ポイントにシフトさせます。図5では、幅計測を基準とする計測トリガーの一例を示します。

図5:計測トリガーは、取得波形を走査し、おのおののポイントで特性値を計測します。ユーザー設定条件が検出されると、オシロスコープはその検出ポイントとトリガーポイントを一致させます(クリックで拡大)

 この例では、トリガー条件は10ナノ秒幅の正パルスになっています。この幅のパルスが取得データ内にあると、オシロスコープは、そのパルスの終端にトリガーポイントを合わせます。

ソフトウェアトリガー

 ソフトウェアトリガーは、ハードウェアトリガーポイントに最も近接するトリガーレベルクロスポイントを検出するために使われます。このトリガーは最近接ポイントを検出後に、波形が特定のトリガーレベルおよび傾きに合致するよう、波形の時間的オフセットを調整します。このソフトウェアトリガーは、指定のトリガーポイント周りに時間軸ゲートを設定し、その内部でしきい値をクロスするかどうかを調べるよう働きます。ソフトウェアトリガーにヒステリシスを手動設定することも可能です。

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