除外トリガーでは、「波形異常にはトリガーするが、通常波形にはトリガーしない」ようにできます。これは、「範囲外」というトリガー条件を利用するスマートトリガーをベースとするものです。除外トリガーは波形異常やグリッチを検出するのに便利です。除外トリガーを利用する主な利点は、このトリガーが計測が容易な公称波形特性を基準として使用するので、異常に関する情報が不要なことです。
図4は、公称幅48ナノ秒、周期250ナノ秒というクロック波形の一例を示しています。除外トリガーは、「通常」パルスへのトリガーを防止し、それら通常パルスとは異なるパルス、つまり異常パルス、にトリガーするよう設定できます。除外トリガーでは、オシロスコープはトリガー条件が満足されない限りデータを捕捉しません。異常データの取得は、オシロスコープのデータ更新速度に依存することなく実行されます。
パルス幅パラメータは、クロック信号の平均幅(この例では48マイクロ秒)を確定するために利用されます。この値を、除外トリガーの基本条件として利用します。ここでのパルス幅トリガーは、「パルス幅が公称値48マイクロ秒から、±800ピコ秒の範囲外にある」という条件に設定されています。その結果、公称値から少なくとも800ピコ秒のずれがあるパルスだけが、オシロスコープのトリガーにかかるということです。
捕捉完了後に動作する特殊なトリガーを備えたオシロスコープも多数あります。例えば、デジタルあるいはソフトウェアトリガー、ゾーントリガー、計測トリガーなどが挙げられます。この種のトリガーは、オートトリガー機能によって波形を取得し、さらに、このデータ捕捉に続いて、データの中から必要なトリガー条件を探し出します。トリガー条件が見つかれば、波形表示はトリガーイベントの位置をオシロスコープトリガー指示ポイントに合致するようシフトします。
計測トリガーを利用すると、計測結果を基にオシロスコープのトリガーを作動させることができます。任意のオシロスコープ計測パラメータを利用できます。特定の計測値にトリガーするための計測条件として「〜未満」「〜以上」「範囲内」「範囲外」「条件なし」が適用可能です。オシロスコープは、最初にデータを取得し、計測条件が観測されると、計測位置をトリガー指示ポイントにシフトさせます。図5では、幅計測を基準とする計測トリガーの一例を示します。
この例では、トリガー条件は10ナノ秒幅の正パルスになっています。この幅のパルスが取得データ内にあると、オシロスコープは、そのパルスの終端にトリガーポイントを合わせます。
ソフトウェアトリガーは、ハードウェアトリガーポイントに最も近接するトリガーレベルクロスポイントを検出するために使われます。このトリガーは最近接ポイントを検出後に、波形が特定のトリガーレベルおよび傾きに合致するよう、波形の時間的オフセットを調整します。このソフトウェアトリガーは、指定のトリガーポイント周りに時間軸ゲートを設定し、その内部でしきい値をクロスするかどうかを調べるよう働きます。ソフトウェアトリガーにヒステリシスを手動設定することも可能です。
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