図2では、従来型の出力段設計を使用した最新型バイポーラアンプ、「OPA202」(Texas Instruments製)と、高いDC精度やレール・ツー・レール出力を備えたCMOSアンプ「OPA189」(同)の開ループ出力インピーダンスを比較しています。OPA202のZo曲線が抵抗性の性質を示しているのに対し、OPA189のZo曲線は異なる周波数領域にわたって容量性と誘導性の性質を交互に示している点に注目してください。
オペアンプのメーカーによるZoのモデル化が正確でない場合、オペアンプシミュレーションモデルの全体的な小信号AC動作は、安定性分析用としては不正確で信頼性の低いものになります。ただし、モデルのZoがデータシートに一致しているかどうかは簡単に確認できます。図3は、推奨されるテスト回路を示しています。
このテスト回路では、インダクターL1がDC時の閉ループ帰還を形成しながら開ループAC分析も可能にし、コンデンサーC1はAC時の反転入力をグランドに短絡してノードがフローティングになるのを防いでいます。オペアンプは、Voutが小さなオフセット電圧に等しくなる線形動作領域(図3を参照)内で動作していなければなりません。制限を超えることがないよう、電源電圧と同相電圧は常にチェックしてください。
AC電流源Ioutはオペアンプ出力を逆駆動するので、結果としてVoutに生じる電圧を測定することにより、式1に示すように、オームの法則を使用してZoを計算できます。
Ioutには1AのAC電流源を使用しているので、Zoは単純にVoutと等しくなります。Zoをプロットするには、AC伝達関数を必要な周波数範囲にわたって実行し、Voutの電圧をプロットします。シミュレータの多くは結果をデシベル単位で表示するようデフォルトで設定されているので注意してください。対数スケール上に測定結果をプロットした場合、VoutはΩ値に等しくなります。では、この回路を使用してOPA189のSPICEモデルのZoをテストしてみましょう。
この場合、オペアンプのZoはデータシートの曲線に対して非常に厳密にモデル化されており、小信号分析に使用することで、実環境でのデータに一致する結果が得られます。
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