前回まではスイッチ(SW)の基本構造や接点の定格表示、表面処理、硫化現象などについてその概要を説明してきました。今回はSWの選び方と注意点について説明します。
1次側のACラインの断続に用いられる電源SWは故障モードによっては感電や発火などの危険な状態を招きかねません。したがって安全の観点から電源用SWについては各国で安全規格が定められています。
従来、この種の安全規格は各国の事情に沿った独自規格でしたが、現在では表1に示すようにIECの標準規格に従って各国で整合規格を定め国際的な標準化、共通化が進められています。
SWに関する日本での整合規格例を表1に示します。
IEC規格番号 | JIS規格番号 | 適用内容 |
---|---|---|
IEC 61058-1 | JIS C 4526-1 | 機器用スイッチ−第1部:一般要求事項 |
IEC 61020-1 | JIS C 5445 | 電子機器用スイッチ |
IEC 60947-1 | JIS C 8201-1 | 低圧開閉装置及び制御装置−第1部:通則 |
IEC 60947-5-1 | JIS C 8201-5-1 | 低圧開閉装置及び制御装置−第5部:制御回路機器及び開閉素子−第1節:電気機械式制御回路機器 |
IEC 60947-5-5 | JIS C 8201-5-5 | 低圧開閉装置及び制御装置−第5部:制御回路機器及び開閉素子−第5節:機械的ラッチング機能をもつ電気的非常停止機器 |
IEC 60947-5-8 | JIS C 8201-5-8 | 低圧開閉装置及び制御装置−第5-8部:制御回路機器及び開閉素子−3ポジションイネーブルスイッチ |
番号の対比が分かりにくいですが、例えばJIS C4526-1:2013の規格の序文には次のような記載があり、当規格がIEC規格の整合規格であることを明記しています。
序文
この規格は、2008年に第3.2版として発行されたIEC61058-1を基に、技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお、この規格で点線の下線を施してある箇所は、対応国際規格を変更している事項である。変更の一覧表にその説明を付けて、附属書JA(JISと対応国際規格との対比表)に示す。
表1は電源SW単体に関する規格ですが製品に関するIEC60065/IEC60335-1/IEC600950、UL6500などの安全規格では使用者保護(安全)の観点から
などの要求があります。電源SWの選定についてはSW単体のみならず、設計対象の機器がどのような安全規格に該当するのかを調査の上、適切な電源SWを選択することが重要です。
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