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DC-DCコンバーターの信頼性(1)信頼性の予測DC-DCコンバーター活用講座(30)(2/2 ページ)

» 2019年08月08日 11時00分 公開
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故障率のバスタブ曲線

 標準的な故障率の挙動は、よく知られている「バスタブ曲線」で表されます。図1に曲線の形を示します。曲線の形は、時間軸の長さが違う以外は全ての部品とシステムにほぼ共通です。曲線は、初期故障期間(I)、偶発故障期間(II)、摩耗故障期間(III)という3つの主な領域に分けられます。MTTFには領域IとIIがあり、MTBFには領域IIのみがあります。

図1:故障率のバスタブ曲線 出典:RECOM

 Iの部分は初期故障の領域を表します。初期故障というのは通常、製品出荷前の最終製造テストではたまたま現れなかった潜在的な材料の欠陥または製造上の不具合によって引き起こされる故障です。初期故障期間は一般的に比較的短期間で、複雑なシステムでさえも使用開始から200時間以上過ぎてから初期故障が起こることはまずありません。DC-DCコンバーターの場合、最も初期の故障は起動後24時間で発生します。この数字は、寿命が3年保証されているコンバーターにしては短いと感じられるかもしれませんが、DC-DCコンバーターが100kHzで動作していれば、スイッチングトランジスタとトランスは、動作開始初日だけで既に1億4千万回以上も動いていることになり、部品の欠陥によるどのような故障が発生してもおかしくない数字です。

 熱ストレスは故障率を上昇させる要因の1つで、初期故障期間から偶発故障期間への遷移時間(T1)は、恒温槽でのバーンイン処理によって図2かなり短縮することができます。コンバーターを高温で全負荷のストレスをかけて動作させた場合、約4時間のバーンインだけで、ほとんど全ての初期故障を検出できるでしょう。それでも初期故障が最終アプリケーションにおいて発生するようなら、バーンイン時間を長くすればよいでしょう。鉄道のように高い信頼性が必要なアプリケーションでは、バーンイン時間は24時間というのがより一般的です。

図2:バーンイン槽でテスト中のDC-DCコンバーター(TAMB=40℃) 出典:RECOM

 領域IIの偶発故障期間中は、故障率は低いレベルで安定しています。偶発故障期間から摩耗故障期間への第2の遷移時間(T2)は、設計や使用部品の品質、組み立て製造品質、アプリケーションの環境ストレスなどさまざまな要因の影響を受けます。領域IIIは製品の摩耗故障期間を表し、この期間には摩耗による性能の低下、使用材料の化学的劣化、突発故障などが予想されます。

 ほとんどのDC-DCコンバーターメーカーはバーンイン処理を使って初期故障の大半を取り除いているので、データシートではMTBF値を使うことが多くなっています。

 なかには、109時間のMTBF故障率の逆数を好んで使うメーカーもあります。これはFIT(Failure In Time)と呼ばれています。

式2:FITとMTBFの関係 出典:RECOM

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執筆者プロフィール

Steve Roberts

Steve Roberts

英国生まれ。ロンドンのブルネル大学(現在はウエスト・ロンドン大学)で物理・電子工学の学士(理学)号を取得後、University College Hospitalに勤務。その後、科学博物館で12年間インタラクティブ部門担当主任として勤務する間に、University College Londonで修士(理学)号を取得。オーストリアに渡って、RECOMのテクニカル・サポート・チームに加わり、カスタム・コンバーターの開発とお客様対応を担当。その後、オーストリア、グムンデンの新本社で、RECOM Groupのテクニカル・ディレクタに就任。



※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。

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