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硫化物系固体電解質を用いたコイン形全固体電池マクセル コイン形全固体電池

マクセルは、「コイン形全固体電池」のサンプル出荷を開始した。10年以上の貯蔵、充放電サイクルが可能で、−50〜+100℃の温度領域で動作する。

» 2019年10月10日 09時00分 公開
[EDN Japan]

 マクセルは2019年9月、硫化物系固体電解質を用いた「コイン形全固体電池」のサンプル出荷を開始した。商品化は2020年度を予定しており、ウェアラブル機器、IoT(モノのインターネット)機器、車載機器などの用途を見込む。

「コイン形全固体電池」のサンプル

10年以上にわたり安定した電池特性を発揮

 この電池には、三井金属鉱業と共同で改良した硫化物系固体電解質と、固体電解質向けに組成や粉体特性を制御した独自の電極材料を採用。充放電に伴う抵抗上昇を抑制して、電解液を使用した従来の電池に比べ高負荷時での放電容量が約30%向上した。

 充電電圧や作動電圧は既存電池と互換性を持ち、既存電池制御システムを流用できる。また、温度に対し安定性の高い固体電解質を採用しているため、−50〜+100℃の温度領域で動作できる。

 さらに、電解液起因の劣化が発生せず、200℃付近まで安定を保つため、10年以上にわたり安定した電池特性を発揮。10年間に相当する加速試験条件で貯蔵した後の容量を電解液系電池と比較すると、全固体電池は電解液系電池に対して、充電状態での貯蔵では約17%、放電状態では約36%、高い容量を維持する。

開発したコイン形全固体電池の貯蔵後放電容量(10 年貯蔵相当の加速評価)

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