電力計を選定する場合は、測定対象の特長をよく知ることと、電力計の仕様を理解することが必要である。また、電力計で測定値の信頼性を確保するため、計測トレーサビリティーについても理解する必要がある。
インバーターが登場する以前は、正弦波の電圧/電流波形から電力値を求めていたため、電圧/電流の実効値から電力計の電圧レンジと電流レンジを決めることができた。
インバーターではパワー半導体をスイッチング動作させるため、正弦波でない波形を扱うことになる。このため、クレストファクターを考慮したレンジ設定が必要になる。
クレストファクターが大きな値であれば、実効値とレンジ設定をするための波高値が異なるため、注意が必要となる。パワーエレクトロニクス装置でよくみられる波形を例に、クレストファクターがどのような値になるかを示す。
最初は、トライアック(トライアックはサイリスタの一種)を使った白熱灯用調光器などに見られる波形制御の事例を示す。
次は、インバーターやスイッチング電源で使われるパルス幅制御の例を示す。
機器の消費電力や電源伝導ノイズを測定するだけであれば、限られた入力モジュールで測定ができる。最近の電力計は、パワーエレクトロニクス装置に搭載された複数の電力変換器の変換効率を同時に測定するため、測定対象にあわせた入力モジュール数を用意できるようになっている。また、利用者の便宜をはかるため、利用者自身が用途に合わせて入力モジュールを交換できるようにもなっている。
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