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48V分散型電源アーキテクチャの利点とは48Vマイルドハイブリッドの課題解決につながる?(2/2 ページ)

» 2020年04月08日 11時00分 公開
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モジュールで構成する分散型アーキテクチャの利点

 バッテリー電圧を48Vとして、これを車両の中のさまざまな負荷へ配電することで、電流が4分の1、損失は16分の1になるので、小型/軽量なPDNが実現できます。車両内に分散している各負荷の電力に応じて、1つのモジュールを並列接続すれば、必要な電力を供給することができます。

 図5は2kWのモジュールを用いた例で、システムに合わせてモジュールを並列接続して構成しています。このようなモジュールを用いる分散型のシステムは大型のDC-DCコンバーターによる集中型電源に比べて、N+1冗長構成が容易に低コストで実現できます。このアプローチは、車両の開発段階の負荷電力がなかなか決まらない状況でも有利です。

図5:モジュールで構成するハイブリッド車向けソリューション(モジュールで構成する分散型給電システムは拡張性が高い)

 もしカスタム電源を採用した場合であれば、設計変更して作り直す必要がでてしまいますが、このアプローチであれば、モジュールを追加または削除するだけで対応することができます。さらに、モジュールが既に認定/登録されていれば、開発期間が短縮できる、という利点もあります。

高電圧バッテリーを使用する車両の48V分散型アーキテクチャ

 電気自動車や高性能ハイブリッド車は、パワートレインおよびシャシーシステムに多くの電力が必要なので、高電圧バッテリーを使用します。そこで多くの利点がある48VのSELV(安全特別低電圧)PDNを採用するにあたり、高電圧800Vまたは400Vから48Vへ大電力を変換する、という課題が生じます。

 この大電力のDC-DCコンバーターは絶縁が必要ですが、レギュレーション機能は不要です。その代わりに48V-12VのDC-DCコンバーターを車両の各負荷の近くへ分散配置することで、精度の良い電圧レギュレーションが実現できます。この場合、上流の大電力DC-DCコンバーターには変圧比が固定のタイプを使うことができます。具体的には、図6で示すように、800Vまたは400Vから48Vへ変換する変圧比が16:1または8:1のDC-DCコンバーターが利用できます。このような変圧比が大きい用途でレギュレーション機能のある電圧変換をしてしまうと、変換効率が悪く、放熱について課題が生じます。

図6:電気自動車向けのモジュールを用いるソリューション

 400Vまたは800Vを配電して絶縁型DC-DCコンバーターを分散して配置するのは、安全上の要件から非常に難しく、コストがかかります。しかしながら、集中配電の大型DC-DCコンバーターを大電力の変圧比固定バスコンバーターに置き換えれば、これらの課題に対処することができます。Vicorは、最適な電力容量の並列接続によって電力を増やすことができるDC-DCモジュールを開発しており、さまざまなパワートレイン、シャシーシステムの電動化に対応します。

著者:Patrick Wadden: Global Vice President, Automotive Business Development, Vicor


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