高い周波数を使用する6G(第6世代移動通信)のテストでは、どのようなパラメーターが重要になってくるのかを説明する。
2020年、日本でも5G(第5世代移動通信)サービスの提供が始まったが、研究開発の世界では既に6G(第6世代移動通信)に向けた議論が始まっている。
6Gは、5G以上に画期的な新しいユースケースをもたらすと想定されている。次のレベルの自動運転とスマート製造の進化に加えて、6Gはセンサー、画像、精密なタイミングとモビリティの統合および、人工知能(AI)とインテリジェントネットワークの本格的活用による画期的なアプリケーションを実現するとされている。さらに、社会および人々に通信技術を統合することで、6G技術は、世界的な持続可能性の達成、社会の改善、各産業の生産性の向上において中心的役割を担うとともに、ミックスドリアリティ(MR/複合現実)体験とテレプレゼンスを実現する。
6Gの開発では、既存の重要業績評価指標(KPI)を更新したKPIと、6Gビジョンの特性を考慮した新しいKPIで測定する必要がある。初期の6Gの目標は、ピークデータレート、レイテンシ、密度などのKPIで5Gの10倍〜100倍を目指すものだった。また、6Gではジッタ、リンクバジェットなどの技術的側面に関連したKPIの重要性も高まっている。
さらなる広帯域の必要性には、超高データレート短距離ネットワークを実現する100GHz以上の周波数の採用が不可欠となる。精密なタイミング要件は、時間に正確なネットワークと新たなアプリケーションをもたらすが、ネットワークの運用方法を変える必要がある。6Gの目標を実現するには、コンピューティングアーキテクチャ、チップセットの設計および素材の大幅な改善が求められる。
プライバシーとセキュリティに関する懸念としては、これまでなかった物理層のセキュリティに対する配慮を含め、全てのネットワーク層に対して以前よりも注目されている。ネットワーク運用の最適化、攻撃に対する防御、復旧の促進を実現するには、AIの利用も必要になるだろう。無制限で瞬時にワイヤレスに接続されるデータ中心のデジタル化社会により、データトラフィックと接続の量は指数関数的に伸び続け、柔軟性に優れたネットワークの必要性が高まる。こうした社会的背景から、空間的スペクトラム効率とインタフェース面が今度の課題となる。
超広帯域変調(比較的短い波長の場合も含む)とサブテラヘルツまたはテラヘルツのスペクトラムにおける高い伝搬損失と大気中の損失は、ビーム幅の減少とアンテナの増加およびデバイスの統合が必要となることを意味している。無線リソースの最適化とインテリジェントネットワークでも、電力消費を抑えるためにRF、ベースバンド、システムデザインにおける技術革新が必要になる。無線デザインとテストのエンジニアにも、大きな技術的課題がある。
6Gは開発の初期段階にすぎず、今後何年もかけて研究することになるだろう。だが、無線通信技術の進化は速い。5Gを構築しつつ、6Gに備える必要がある。サブテラヘルツまたはテラヘルツ周波数に関する課題を理解することは、特に重要だ。
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