・時間−電圧変換方式
タイムエクスパンション方式では高分解能を得るのに長い測定時間が必要となるため、端数パルスの期間に充電した電圧を高分解能A-D変換器を使って高速に測定する。
計測自動制御学会が発行する計測と制御誌の2005年Vol.44,No.10「分解能の限界にせまる:時間、周波数の測定技術」に詳しい技術解説がされている。
・タイムバーニア方式
ノギスで使われているバーニア(副尺)の原理を使った方式で、端数パルスが生じたときからスタートする発振器の周波数を基準クロックの周波数と少しだけずらしておく。これによって基準クロックとスタート発振器の位相が一致する点が生じる。この点を見つけることによって高分解能測定ができる。
詳しくはHewlett-Packard Journalの1978年8月号にタイムバーニア方式を採用したModel 5370 Aの技術解説が掲載されている。
ユニバーサルカウンターに搭載される基準クロックは、一般に水晶発振器が使われる。一部の製品ではルビジウム原子時計を搭載するものがあるが、一般的な用途ではない。
下記に示すように、各種の水晶発振器はさまざまな電子機器に搭載されている。
種類 | 概要 | 主な市場分野 |
---|---|---|
パッケージ水晶発振器(SPXO) | 温度制御や温度補償をしていない一般的な水晶発振器。周波数温度特性はほぼ水晶振動子に依存する。周波数安定度は±50〜±100×10-6程度 | 有線通信機器、無線通信機、産業機器(OA・情報端末、医療,カーエレクトロニクス)、民生用電子機器(映像、音響など) |
電圧制御水晶発振器(VCXO) | 外部からの制御電圧により、出力周波数を可変または変調できる水晶発振器 | 受信装置など |
温度補償水晶発振器(TCXO) | 温度補償回路を付加して、周囲温度の変化による周波数変化が少なくなるようにした水晶発振器.周波数安定度は±0.5〜±2.5×10-6程度 | 無線通信機(携帯電話など) |
恒温槽付き水晶発振器(OCXO) | 恒温槽によって水晶振動子の温度を一定に保ち、周囲温度の変化による出力周波数の変化量を最も少なくなるようにした水晶発振器。周波数安定度は±1×10-7〜5×10-10程度 | 携帯電話基地局など |
表1:電子機器に使われるさまざまな水晶発振器出典:水晶発振器の選び方・使い方(Design Wave Magazine 2007年2月号) SPXO:simple packaged crystal oscillator VCXO:voltage controlled crystal oscillator TCXO:temperature compensated crystal oscillator OCXO:oven controlled crystal oscillator |
ユニバーサルカウンターに使われる水晶発振器はTCXOが標準搭載されており、オプションでOCXOが搭載できるようになっていることが多い。
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