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DC-DCアプリケーションの考え方(1)極性の反転やパワーダブラーDC-DCコンバーター活用講座(40)

今回からは、DC-DCコンバーターのアプリケーション分野がいかに広いかを示すため、DC-DCコンバーターのあまり一般的でないいくつかの使用方法について検討します。まず、「極性の反転」や「パワーダブラ―」に関して解説します。

» 2020年11月17日 10時00分 公開

はじめに

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 DC-DC変換を必要とするアプリケーションは多数あります。その数は非常に多く、世界での市場規模は2020年までに350億米ドルを超える見込みです。しかし、多くの回路設計者にとってDC-DCコンバーターは、インダクターやトランジスタなどの素子のように、1つの機能を果たす「ブラックボックス」と言えます。

 DC-DCコンバーターは汎用の機能ブロックとして、必要とされるあらゆる場所に使用可能で、「代表的な」アプリケーション分野はありません。この最終章では、DC-DCコンバーターのアプリケーション分野がいかに広いかを示すために、DC-DCコンバーターのあまり一般的でないいくつかの使用方法について検討します。

極性の反転

 絶縁型DC-DCコンバーターはフローティング出力を備えています。同様にフローティング入力を備えていると考えることもできます。従って、どんな絶縁型DC-DCコンバーターでも、電源電圧の極性を反転することができます。絶縁は不要だが共通基準点は必要な場合、出力をどの入力にも接続でき、また所望の基準電圧にも接続することができます。下図は、正の入力電圧から負の出力電圧またはその逆を発生する、いくつかの可能な構成方法を示しています。

図1:絶縁型コンバーターを使った極性反転の例

 −48Vから+5Vへのコンバーターのアプリケーションは、電話線から給電されるGSMトランスミッタモジュールに使えます(90Vの呼び出し信号に対処するために、何らかの入力電圧制限回路が必要になる場合ある)。+5Vから−15Vへの電源のアプリケーションは、オペアンプやADCなどのアナログ回路の負電圧レールに使えます。

 正の入力電圧から負の出力電圧を供給するのに、スイッチングレギュレーターを使うこともできます。この動作が可能なのは、降圧レギュレーターは共通ピンを基準に出力電圧を定めますが、絶対電圧ではなく電圧差だけを「見る」からです。出力を接地し、共通ピンをフロートさせると、共通ピンは負になって正しい電圧差を維持します。正の5V出力のスイッチングレギュレーターを使って、正の5V入力から負の5V出力を発生することができるアプリケーション例を図2に示します。リニアレギュレーターでは不可能な離れ業です。

図2:正電圧から負電圧変換を行う非絶縁型コンバーターの例

 正電圧から負電圧への非反転コンバーターの別のアプリケーション例は、12Vバッテリー用出力電圧スタビライザです(図2右)。スイッチングレギュレーターは正の入力電圧と発生した負の出力電圧の差に等しい入力電圧を見るので、バッテリー電圧がわずか8Vであっても回路は安定した12Vの出力電圧を供給することができます(なぜならば、コンバーターに関する限り、入力電圧は8V+|12|=20Vに等しく、12Vの出力を安定化するのに十分であるから)

 入力電圧の上限はスイッチングレギュレーターの安全最大入力電圧から出力電圧を差し引いた値、つまり、VMAX−2V(2Vは安全マージン)−|VOUT|で、RECOM R-7812レギュレーターの場合は(32V−2V)−12V=18Vになります。従って、この回路は8〜18Vの入力から安定した12Vを供給できます。バッテリーの負端子は+12Vの出力に接続してあることに注意してください。

 この通常とは異なる回路は、バッテリーがフロートしているので正しく動作します。回路が起動するときバッテリーチャージャーが接続されている場合、短絡を防ぐためにチャージャーの出力もフロートさせる必要があります。

パワーダブラー

 絶縁は不要だが、入力電圧より高い出力電圧を必要とするDC-DCアプリケーションがあります。下の図3の例はパワーダブラーを示しており、DC-DCコンバーターの2倍の電力で入力電圧の2倍の電圧を発生します。

図3:パワーダブラー

 DC-DCコンバーターの定格が15Wの場合(例:RP15-1212S)、その出力は1.25Aで12Vを供給します。ただし、この出力電圧は12Vの入力電圧に上乗せされます。従って、負荷から見ると1.25Aで24V、つまり30Wになります。代表的なアプリケーションとしては、ポンプまたはパワーソレノイドに給電するために、安定した12V電源から24Vdcを発生する必要があるが、サイズやコストの制約により高電力DC-DCコンバーターは使えない場合です。RP15はわずか1インチ四方なので、この回路によってコンパクトながら30Wの電源を実現することができます。


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執筆者プロフィール

Steve Roberts

Steve Roberts

英国生まれ。ロンドンのブルネル大学(現在はウエスト・ロンドン大学)で物理・電子工学の学士(理学)号を取得後、University College Hospitalに勤務。その後、科学博物館で12年間インタラクティブ部門担当主任として勤務する間に、University College Londonで修士(理学)号を取得。オーストリアに渡って、RECOMのテクニカル・サポート・チームに加わり、カスタム・コンバーターの開発とお客様対応を担当。その後、オーストリア、グムンデンの新本社で、RECOM Groupのテクニカル・ディレクタに就任。



※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。

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