マイコン内部のロジック回路などでは、LDD構造のMOSが使われているため、HCIによる不良は発生しない(図6)
そのため、HCIの不良が発生する回路は、LDD構造を使えない回路になる。マイコンメーカーによって製造工程やMOS構造が異なるため、一概にはいえないが、例えばアナログ回路や汎用IOのドライバーMOSなどが挙げられる。
アナログ回路でLDDを使うと、チャネル領域にイオン濃度の異なる領域が存在するため、アナログ特性を調整するのが難しい。よって、一般的にアナログ回路ではSDが使われる。
また、汎用IOのドライバーMOSは、LED(Light Emitting Diode)などをドライブする必要があるため、SDを使用する。LDDは、チャネル領域に流れる電流を制限することによってHCIの発生を防いでいるため、ドライブ能力が落ちて電流不足になる可能性がある。LDDで電流を制限する分、MOSを大きくすれば良いのだが、その場合コストアップにつながってしまう。
さらに補足すると、HCIが発生するのは主にNMOSで、PMOSでは発生しない。厳密にいえば、理論的にはPMOSでも発生するが、実際には発生しない。プロセス開発時にHCIの耐性を試験する際は強制的に発生させるが、それ以外で発生することは、まずない。
ここで誤解を招かないように再度、以下のことを指摘しておく。
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