MOSFET、IGBTならびにSiC(炭化ケイ素)トランジスタは高電力/高電圧アプリケーションでよく使用されるが、これらのゲートははるかに低い電圧で駆動されている。ゲート入力電圧の範囲が異なることに加え、これらデバイスの高電圧および低電圧回路におけるパスの全てが、製品とそのユーザーの両方を危険にさらし得る迷走電流を防止するためグランドから絶縁されていなければならない。本設計で提案している汎用絶縁型ゲートドライバ(UVIGD)は、これらの要件を満たすために作成したものだ。
MOSFET、IGBTならびにSiC(炭化ケイ素)トランジスタは高電力/高電圧アプリケーションでよく使用されるが、これらのゲートははるかに低い電圧で駆動されている。例えば、典型的なMOSFETの最大ゲート電圧は通常5〜10Vであるのに対し、IGBTでは10〜12V、SiCデバイスでは18〜22Vが一般的だ。このようにゲート入力電圧の範囲が異なることに加え、これらデバイスの高電圧および低電圧回路におけるパスの全てが、製品とそのユーザーの両方を危険にさらし得る迷走電流を防止するためグランドから絶縁されていなければならない。本設計で提案している汎用絶縁型ゲートドライバ(UVIGD)は、これらの要件を満たすために作成したものだ(図1)
図1に示す回路は、それぞれが個別のグランドを持つ、2つの異なる供給電圧(12Vおよび24V)をサポートしている。フォトカプラ(PC 817)がこのドライバ回路の低電圧部分と高電圧部分を絶縁する役割を担っている。入力駆動信号はLM324オペアンプ(図中の左下)によってバッファリングされてからフォトカプラに供給され、さらにこのフォトカプラからL298デュアルフルブリッジドライバに供給される。
L298は最大42Vまでの供給電圧を使用して、リレー、ソレノイド、DC、ステッピングモーター等の誘導性および容量性負荷と圧電素子を駆動することができる。本設計ではこのデバイスの供給電圧範囲が広いことから、これをMOSFET、IGBT、SiCトランジスタの汎用絶縁型ゲートドライバとして使用することができている。
可変抵抗器VR1によって制御されるLM317がL298に可変供給電圧を供給することで、L298はその出力信号振幅をMOFEST、IGBT、SiCトランジスタのそれぞれ異なる入力範囲に合わせて調整することができる。L298が正常に機能するためには、その入力信号(VIN1)と出力信号(VOUT1)の間に2.5V以上の電圧差がなくてはならない。この電圧差は、直列接続されているダイオードD1〜D4(1N4007)間の電圧降下を用いて作られる。このダイオードスタックによりVR1の抵抗が0Ωに近づき、LM317の出力が5Vになる。一方、VR1にその最大値(2157Ω)が設定されている場合、LM317の出力は22Vまで上昇する。
本回路のパフォーマンスは図2に示すテスト回路を用いて評価した。テストでは高電圧スイッチモジュール(HTS 901-10-L02)を実験負荷として使用した。図3はこの実験で得られる典型的な測定結果を示している。
テストでは20kHzの駆動周波数と40kVの供給電圧を使用した。図3のトレースAは、図2において低電圧側の入力信号(5V)を示すA点に対応している。トレースBは、汎用絶縁型ゲートドライバの出力信号(8V)パルス(図2のB点で測定される電圧)を示す。トレースCは、HVスイッチの出力によって生成される40kVディップ波形を示している。
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