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定格を無視!? 不可解な電源を抱えたX線コントロールユニットの修理【前編】Wired, Weird(2/3 ページ)

» 2023年02月16日 11時00分 公開
[山平豊(Rimos)EDN Japan]

いくらなんでもまずい

 図4左は制御基板の部品面で、図4右はハンダ面だ。確認した結果をメモ書きしていった。気になるDC38.4Vの電圧は、図4左の左下にある2つのDC-DCコンバーターへ接続されていた。下側の電解コンデンサーは63V/1000μFだったが、左中央の電解コンデンサーは35V390μFだった。AC100Vを通電して電圧を確認すると、35V耐圧の電解コンデンサーに38.4Vが印加されていた。耐圧を3.4Vもオーバーしており、いくらなんでもこれはまずい使い方だ。

内部の制御基板 図4:内部の制御基板。左が部品面、右がハンダ面[クリックで拡大]

 DC30V電源の電圧はCPU基板の下のオンボードDC-DCコンバーターに接続されていた。オンボード電源はDC24V入力で5V出力の電源だったが入力電圧の範囲はDC24〜36Vでギリギリ使える電圧範囲だった。なぜ電圧を3.9Vも上げて使っているのかこれも疑問だ。

 結果的に基板内で使用されている電圧は29V、27V、19V、12V、5V、3.3Vの6つの電圧で、アナログ回路とデジタル回路が混在する基板だった。

インターロックの可能性

 基板内の電源の把握は終わったので『フィラメントエラー』の発生原因を取扱説明書から調べた。X線ランプのインターロックの可能性がある。取扱説明書の一部を図5に示す。

取扱説明書の一部 図5:取扱説明書の一部[クリックで拡大]
背面にあるコネクター部 図6:背面にあるコネクター部[クリックで拡大]

 図5は取扱説明書に記載されたINTER LOCK1と2の説明で、図6は背面のコネクターだ。赤四角のINTER LOCK 1に33Vの数字があった。これがランプ電圧だろう。コネクターの中央がINTER LOCK 1でこれがオンすると電源が供給された。右のコネクターがこの不具合と関連があると思われたので、INTER LOCK 1と2の1,2ピンの接続先を確認した。図7に示す。

INTER LOCK 1と2の接続部分 図7:INTER LOCK 1と2の接続部分

 図7の右上側がINTER LOCK 1の接続先でここがオンするとリレーやSSRを通して電源が供給されるようだ。左側がINTER LOCK 2の接続先で下側にあるフォトカプラで信号を受けて内部に信号を出していた。このフォトカプラに黒丸をつけた。フォトカプラ単体を実装したまま10mA程度のLED電流を流し、出力の抵抗をテスターで測定したら、他の部品は200Ω程度だったがこの部品は3倍程度の抵抗だった。DC-DCコンバーターと接続しているフォトカプラも同じであり、2つのフォトカプラが劣化している可能性があった。

 オペアンプとアナログ系部品の動作は確認していないが、アナログICの電源波形は正常だったので、問題はなさそうだ。

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