今回は、電源に不具合を抱えたと思われる基板検査装置に使用されている「X線コントロールユニット」の修理の様子を報告する。
知人から久しぶりに電話があった。基板の検査機器に使用された著名なメーカーのX線コントロールユニットについての相談だった。ユニットが故障し、代替機で設備は稼働しているが予備機がないので見てほしいということだった。あまり自信はないが取扱説明書はあり、修理品と一緒に送ってもらった。今回はX線コントロールユニットの修理の様子を報告する。製品名やメーカー名を伏せて、ユニットの写真を図1に示す。
図1左は正面で、図1右は背面だ。AC電源と周辺機器とのコネクターが見える。不具合情報を再確認すると『フィラメントエラー』ということだったが、送ってもらった取扱説明書にはこのエラーに関する説明はなかった。取扱説明書の内容を把握しつつ、カバーを開けた。図2に示す。
図2は機器を上面から見たところで、図2右側の2つの電源と2つのファンと中央の制御基板で構成されていた。不良原因は電源部だろう。基板の内部にも2つのDC-DCコンバーター回路とオンボードのDC-DCコンバーターがあった。また多数のアナログICがあり一つ一つの機能を確認し、不良の原因を探るしかなさそうだ。『フィラメントエラー』は、基板検査機のX線ランプが点灯していないと思われた。まずは電源ユニットを確認してみた。図3に示す。
図3左は30V電源でAC100Vを通電すると、DC33.9Vが出ていた。定格の+10%を超えた電圧だ。図3右は48V電源だがDC38.4Vが出ていた。定格の−20%より低い。最初は48V電源の故障かと思ったが調整抵抗を回したら、DC48Vが出力され1Aの負荷で安定動作していた。やはり48V電源をDC38.4Vで使っているようだ。しかし、この2つの電源の使い方は少しおかしいし、電源メーカーの保証範囲の±10%からは外れている。
正面のファンは回っているが少し異音がしている。背面のファンは回っておらず電源ユニットは冷却されていなかった。スイッチング電源は、念のためサブ電源の電解コンデンサーを補強して10μFのセラミックコンデンサーを追加した。これで電源は安定動作するだろう。
制御基板上で電源電圧をどのように使っているかを確認するため、機器へ電源ユニットを戻して、基板内部の電圧を確認した。次ページ(図4)に示す。
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