マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、初心者の方からよく質問される「D-Aコンバーターの仕組みと使い方」についてです。
素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。
今回は、初心者から多く寄せられる質問です。
マイコンに搭載されているD-Aコンバーターの仕組みはどうなっていて、具体的にどのように使えば良いのでしょうか?
D-Aコンバーター(デジタル-アナログ変換回路=Digital to Analog Converter、以下、DAC)は一定電圧の範囲内で任意のアナログ電圧を出力できる機能です。出力電圧を一定周期で連続的に変化させると、サイン波(正弦波)、コサイン波(余弦波)や三角波などの疑似的な交流波形を作ることができます。
サイン波、コサイン波や三角波の作り方は、「Q&Aで学ぶマイコン講座(8)「マイコンでサイン波、コサイン波を作れますか?」を参照してください。
ここでは、STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)の汎用32ビットマイコン「STM32L5シリーズ」*1)に搭載されているDACを例に解説します(図1)
DACには、基準となる電圧が必要です。STM32L5シリーズの場合、「VREF+」(図1(1))です。出力電圧は必ずVREF+以下の値になります。出力電圧の値は、12ビットのデータ出力レジスタDAC_DOR(以下、DOR)に設定します(図1(2))。出力電圧とDORの設定値は、次の関係にあります。
DAC出力電圧=(VREF+)×(DOR/4096)…(1)
DACの出力スタートトリガーは、ソフトウェアやタイマーからのトリガー信号などが選べます(図1(3))
DORの書き換えは、CPUからだけではなくDMA*2)(図1(4))でも可能です。
また、出力端に駆動能力を上げるための出力バッファー(図1(5))を備えています。
*1)参考:STM32L5シリーズ
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