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電源入力とモーター出力を逆に配線してしまったらどうなる!? ――7.5kWインバーターの修理(3)Wired, Weird(1/2 ページ)

今回も7.5kWインバーターの修理の続きだ。修理したインバーターを発送して1カ月後に「電源入力とモーター出力を逆に配線してしまった」と連絡があった――。

» 2023年10月27日 11時00分 公開
[山平豊(Rimos)EDN Japan]

 今回も7.5kWインバーターの修理の続きだ。修理したインバーターを発送して1カ月後に連絡があった。

インバーターの取り付け時に確認不足で配線が長く、電源入力とモーター出力を、逆に配線し、RUNを入れた途端に過負荷となり、表示ランプが消えてしまいました

ということだった。

『エッー、UVW出力端子にRSTの三相電源をつないでしまった!?』

 依頼者の作業ミスだが『早急に何とかするしかない』と思い、再度、インバーターを送ってもらうように依頼した。おそらくIGBTモジュールがまた壊れていると思われるが、UVW端子に三相電源を接続すると、どのように壊れるのか調べるには良い機会だと思った。今回は逆配線で破損したパワーモジュールの状況を確認したので報告する。

UVW端子に三相電源を接続するとどのように壊れるのか

 数日後に破損したインバーターが届いた。整流モジュールのダイオードとIGBTモジュールの保護ダイオードの特性を調べたが正常だった。AC100VをRとT端子に接続しエラー表示を確認したが正常だった。

 UVW端子に三相電源を接続したらどうなるのかを考えてみた。パワーモジュールの回路図を図1に示す。

図1:パワーモジュールの回路図[クリックで拡大]

 図1はパワーモジュールの回路図だ。UVW端子に三相電源を接続するとIGBTの保護ダイオードを通して整流コンデンサーが充電され、見た目は正常に動作するようだ。しかし、RUNスイッチを押すとIGBTがオンして、三相電源を短絡してしまい、IGBTが即時に破損すると思われた。

黒く焼けた内部のチップ

 誤接続したドライバーのパワーモジュールを基板から取り出し、カバーを外してパワーモジュールの内部を確認してみた。図2に示す。

図2:パワーモジュールの内部[クリックで拡大]

 図2は取り外したパワーモジュールでカバーを外したものだ。2度目の取り外しだったので端子を切ることはなくうまく取り外せた。内部のチップの外観を拡大してみた。少し気になることがあった。図3に示す。

図3:パワーモジュールのチップ部[クリックで拡大]

 図3左は初回の修理で取り外したモジュールで、図3右は今回の誤接続したモジュールだ。図3右の左から2番目のパターンが黒く焼けていた。チップが過熱したようだ。また、3番目のチップの接続ハンダが少し広がって、右側のパターンと接触しているようだ。

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