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クロックとは ーーマイコンにクロックが必要な理由Q&Aで学ぶマイコン講座(88)(4/5 ページ)

» 2024年01月18日 10時00分 公開

クロックの種類

 ここで、MS FFのクロックラインに着目します。MS FFでは、マスター側のクロックをインバーターで反転してスレーブ側に入力するため、スレーブ側のクロックは、マスター側のクロックに対してインバーター分の遅延が発生します。すると一瞬ですが、両方のクロックのHigh期間が重なります(図4上段のクロック)。マスター/スレーブ側の両方にD-Latchを使っている場合に、両方のクロックが同時にHighになると、マスター側もスレーブ側も入力データを透過的に出力してしまうので、それまで保持していたデータが壊れてしまいます。そこで、High期間が重ならないノンオーバーラップクロックを使う場合があります。

<strong>図4:ノンオーバーラップクロック</strong> 図4:ノンオーバーラップクロック[クリックで拡大]

 図4の下段に示したクロックは、マスター側とスレーブ側のクロックのHigh期間が重ならず、マスター/スレーブ側が同時に透過的になることはありません。

 マイコンの論理設計に機能記述の手法が使われる前は、ノンオーバーラップクロックが主流でした。図4では、2相クロックですが、筆者が設計者時代に開発した製品では、4相クロックのマイコンもありました(図5

<strong>図5:4相ノンオーバーラップクロック</strong> 図5:4相ノンオーバーラップクロック[クリックで拡大]

 しかし、近年のマイコンで、論理設計に機能記述の手法が使われるようになってからは、ノンオーバーラップクロックはほとんど使われていません。

 実際のマイコンでは、クロックラインのインバータの遅延時間よりも、FF内部やその他の組み合わせ回路で使用されている論理ゲートの遅延が大きい場合が多いので、インバータの遅延時間の影響はほとんどありません。

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