ノートPCが小型化、薄型化するにつれ、オーディオ性能の向上や改善は難しくなる。そこで注目されているのが、「スマート・アンプ」と呼ばれるデバイスだ。DSP(デジタルシグナルプロセッサ)やセンサー、バッテリー電圧ブーストなどを統合したスマート・アンプは、複数の半導体メーカーが手掛けていて、ノートPCのオーディオ設計を簡素化するキーデバイスとなりそうだ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は人々の働き方に影響をもたらしました。今日、リモートワークは特別なことではなく、むしろ当たり前になりました。こうしたオフィス以外での勤務形態を後押しする要因として忘れてならないのがノートPCの薄型化です。超薄型ノートPCを使って自宅やコーヒーショップからビデオ会議に参加し顧客にプレゼンテーションを行うことは、もはや日常的な仕事風景となっています。ほかにも、自宅のテラスで音楽を聴いたり、ソファで子供たちとビデオゲームやテレビ番組を楽しんだりと、超薄型ノートPCが活躍する場面は仕事だけにとどまりません。そして、こうしたすべての活動において欠かせないものが高性能なオーディオです。
職場環境におけるノートPCの使われ方は継続的に変化しています。例えば、リモートワークが増えたことでノートPCを使ったビデオ会議では、特に騒がしい環境では、高品質なオーディオに対する重要度が高まっています。こうした働き方の変化は、ヘッドフォンや外部スピーカーを必要としない優れたオーディオスピーカーを内蔵し、持ち運びにも便利な超薄型ノートPCに対するニーズを高める要因になっています。市場調査会社のIDCが発表した「PCD Tracker Historical 2022 Q3」のデータ(図2)は、超薄型ノートPCの導入が加速していることを示しています。
現在、ノートPCは10〜15mmにまで薄型化が進み携帯電話の厚さに近づいています。薄型化と併せて、360度回転するタイプや着脱式2-in-1型、折り畳み型など新しいフォームファクターのノートPCも登場しています。こうした形状面における進化がユーザーに歓迎される一方で、PCメーカーはノートPCに搭載するオーディオに複雑な課題を抱えることにもなっています。
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