表1で示したように、パッケージはその外観からQFP、BGA、CSP、SOといった名称に分けられます。さらにその中でも特徴が分かるように、アルファベットを数文字付けて表されます。取り付け時の高さを表す文字が追加されたり、形状の特徴を表す文字が追加されたりします。
しかし、ユーザーがパッケージの細かい命名ルールを気にする必要はなく、おおまかな形状を外観で判断し、細かな形状をデータシートで確認すれば問題ありません。
便利なことに、マイコンの型式にはパッケージの情報が含まれているため、型式をみればパッケージの種類は判断できます。型式が分かれば、データシートを調べて、外観と細かい寸法を知ることができます。
図2にSTM32ファミリーの型式ルールを示します。右から2つ目の項目にパッケージ外形を示すコードが記載されており、これを参照することでパッケージの種類が分かります。
最終製品が小型の場合、使用されるマイコンも必然的に小型になります。小型のゲーム機、体温計、カメラレンズなどでは、マイコンの実装スペースが狭いため、小型パッケージが要求されます。
特にカメラレンズは、ピント調整やズーム、手振れ補正機能などで、一般的にマイコンが2〜4個使われています。そのため、極めて小型のパッケージが要求されます。
しかし、小型パッケージはピン間隔が狭く、PCBの配線レイアウトの間隔が狭くなるため、微細なパターンが要求されます。その結果、PCBの加工コストが上がります。また、配線間隔を確保するために多層基板を用いると基板自体のコストが高くなり、最終的に製品の価格に影響を与えます。
筆者が過去にサポートしたカメラメーカーでも、マイコンの価格やパッケージの種類、PCBのコストを天びんにかけて悩んでいることがありました。
産業用機器で使われるマイコンは、実装スペースの制約が比較的厳しくありません。そのため、小型パッケージよりも、高効率の放熱特性が要求されます。例えば、モーター制御用のマイコンや、配電盤に使われるマイコンは、防塵(じん)のために密封された箱に入れられることが多く、熱がこもって高温状態で使用される場合が多くあります。この場合、パッケージの放熱特性が悪いと、マイコンチップが高温になり、誤動作を引き起こしてしまいます。
筆者が過去にモーター制御関係のメーカーをサポートした際、筐体の具体的な発熱特性を提供してもらい、マイコン動作中の温度上昇を詳しく計算したことがあります。
PCBにマイコンをはんだ付けする手法によって、パッケージが限定される場合があります。手作業ではんだを付ける場合や、自動はんだ付け装置には、フローはんだ、リフローはんだなどの方式があります。しかし、種類によっては、これらが適用できないパッケージがあります。誤った手法ではんだ付けを行ってしまうと品質に影響が生じるため、必ずメーカーに確認しましょう。
QFPは比較的取り扱いが簡単で、はんだ付けも手作業でできるため、ホビーユーザーから家電、産業用として広く使われています。BGAは、いったん実装するとメンテナンスが困難になりますが、実装スペースを小さくできます。このように各パッケージにはメリット/デメリットがあり、表2にまとめましたので参考にしてください。
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