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電磁気学入門(9)フォワードコンバーターのトランス設計DC-DCコンバーター活用講座(52)(1/4 ページ)

電磁気学入門講座。今回は、降圧コンバーターの設計事例や、損失計算について解説します。フォワードコンバーターのトランス設計について解説します。

» 2024年04月09日 11時00分 公開

フォワードコンバーター概論

 フォワードトポロジーには、シングルエンド、プッシュプル(ロイヤートポロジーに似ているが、外部発振器のクロックを使用)、フルブリッジ、ハーフブリッジといったコンバーターが含まれます。断続的にエアギャップにエネルギーを蓄積する、フライバックの組み合わせインダクターとは違って、フォワードコンバーターのトランスは直接トランスの作用によってエネルギーを連続的に転送します。電流が一次側に流れると、二次側にも流れます。

 そのため、フォワードコンバーターのトランスにはギャップは必要ありません(設計によっては、フライバックとフォワードトポロジーの優位な点を組み合わせるため、100μmほどの非常に小さなギャップを使うことがある)

 主なフォワードコンバーターの利点は、コアの全磁気性能を利用でき、高い磁化インダクタンスは、巻き線のピーク電流を低減します。このため、特に銅損がフライバックコンバーターより小さいので、フォワード設計は高出力電流アプリケーションに多く使われます。

 主な不利点は、サイクルを通して出力電圧を維持するために、出力インダクターとフリーホイールダイオードが必要になり、部品コストが増えることです。その一方で、出力インダクターは出力リップルを大幅に除去するので、出力コンデンサーは小さなもので済みます。

 また、フォワードコンバーターは、適正なCCM動作を維持するために、最小負荷を必要とします。

<strong>図1:フォワードコンバーターのトランス</strong> 図1:フォワードコンバーターのトランス[クリックで拡大]

 フォワードコンバーターは直接トランスの作用を使うので、コアはサイクルごとに完全にリセットする必要があります。そうしなければ、コアが飽和するまでコア内で磁界が徐々に上昇します(磁束移動)

 フルブリッジ、ハーフブリッジ、プッシュプルのフォワードコンバーターは、一次側巻き線の電位を反転させて、4象限全ての動作を強制しコアをリセットします。

 シングルエンド設計に関しては、第一象限でのみ動作するため、コアのリセットに消磁巻き線を使う必要があります。リセット巻き線は通常、一次巻き線と同じ巻き数で、漏れインダクタンスによる電圧オーバーシュートを低減するため、双方を近づけて結合させる必要があります。そのため、これらは一般に2本巻き(絶縁された2本のワイヤを1本にしたもの)により一緒に巻き、リセット巻き線は一次巻き線とは逆位相で巻きます。

 シングルエンドのフォワードコンバーター設計は、他のフォワードコンバーターより低価格で作ることができるという利点をもっています。1つの単電源の他にほとんど追加部品を必要としません。1:1のリセット対一次巻き線比では、コアはデューティサイクルが50%以下であれば飽和しません。従って、磁束移動の問題はまったくありません。不利点は、MOSFETのピーク電圧が少なくても入力電圧の2倍になる可能性があり、高性能なトランジスタが必要になることです。

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