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電磁気学入門(9)フォワードコンバーターのトランス設計DC-DCコンバーター活用講座(52)(3/4 ページ)

» 2024年04月09日 11時00分 公開

一次、リセット、二次の適正な巻き数を算出

 前ページでコアを選択し、仕様を示しました。次のステップとして、式に戻って一次、リセット、二次の適正な巻き数を算出します。

<strong>式3:一次側巻き線数の関係式</strong> 式3:一次側巻き数の計算

実用的ヒント

 この巻き数は最小数なので、一次側巻き数は12ターンとします。リセット巻き線の巻き数は同じ(12ターン)ですが、リセット巻き線はスイッチング電流を流す必要がないので、ワイヤは3〜4ゲージ細いものを使います。

 二次巻き線の巻き数は以下の関係式から計算します。(VLは出力インダクターの電圧降下で通常0.5V)

<strong>式4:二次巻き線巻き数の算出</strong> 式4:二次巻き線巻き数の算出

 これも、最小巻き数なので、安全を見込んで20ターンとします。

 一次と二次巻き線には、AWG26のワイヤを使います(120kHzでの表皮効果を回避するため)。AWG26のワイヤ径は0.202mmなので、1つの層に12ターン巻けます。

 一次巻き線とリセット巻き線は2つの層で構成されるので、2本巻きで6ターン巻きます(一次巻き線はAWG26、リセット巻き線はAWG30)。4層のビルドの高さは約0.8mmなので、必要があれば、一次巻き線と二次巻き線の間に絶縁テープを使っていくつかの層を追加できる十分なスペースがあります。

 平均一次巻き線電流は以下になります。

 効率を90%と仮定すると、入力電力は、5.5V×1A / 0.9=6.1Wになります。平均一次側オン電流はVin,min時に最大になります。

 外周は18.9mmなので、1ターンの第一次近似抵抗は、式5で算出できます。

<strong>式5:ワイヤ抵抗の算出</strong>ρは銅の抵抗率(1.678×10-8Ωm)、lはワイヤ長(m)、Aはワイヤの断面積(πr<sup>2</sup>、単位:m<sup>2</sup>) 式5:ワイヤ抵抗の算出ρは銅の抵抗率(1.678×10-8Ωm)、lはワイヤ長(m)、Aはワイヤの断面積(πr2、単位:m2

 この設計例では、AWG26のDC抵抗は134mΩm-1で、2.5mΩ/ターンになります。一次巻き線のI2R銅損は67.5mWで、二次巻き線ではわずか5mWです(出力電流仕様は1A)

 銅損の合計は72.5mWで、これはトランスを通る全電力の約1.5%です。非常に満足のいく数値です。

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