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電磁気学入門(10)フライバックトランスの設計DC-DCコンバーター活用講座(53)(1/4 ページ)

電磁気学入門講座。今回は、フライバックトランスの設計について解説します。

» 2024年05月29日 10時00分 公開

フライバックトランスの設計

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 フライバックコンバーターは、トランス(実際は2個のインダクターの組み合わせ)に電力を転送するために、エアギャップに蓄積されたパルスエネルギーを使います。

 多くの点で、フライバックは、トランス絶縁の降圧/昇圧コンバーターと考えることができ、50%に近いPWMデューティサイクルを維持したまま、巻き線比によって入力電圧を昇圧または降圧できるという利点をもっています。そのため、フライバックは、AC電圧を整流した数百ボルトの電圧を低いDC電圧に降圧するAC-DC電源で普及しています。

 他の利点として、本来トポロジーが簡素なことに加えて出力インダクターが必要なく、電源のコストとサイズを削減できることがあります。

図1:フライバックコンバーターのトランス[クリックで拡大]
二次巻き線は、一次巻き線の反対側に巻かれる

 フライバックコンバーターの設計事例として、ここでも電磁気学入門(7)降圧コンバーターの設計事例や損失計算と同じ仕様を使います。

  • 入力電圧:9〜14VDC
  • 出力電圧:5VDC
  • 出力電流:1A
  • 出力電圧リップル:100mVp-p 最大
  • スイッチング周波数:120kHz
  • 動作温度:周囲温度0℃〜+85℃

 最初のステップは、デューティサイクルと巻き数比を決めることです。この2つは相互に関連しています。一方を決定すると他方も決まります。電流モードのフライバック設計では、ワーストケース(入力電圧が最小)の最大デューティサイクルは50%です。

実用的ヒント

 50%のデューティサイクルは理論上の最大値で、実際にはスイッチングサイクルのいくらかのデッドスペースを許容することになります。これは、シュートスルーと、スロープ補償を伴う無用の発振問題を回避します。従って、40%が安全な選択となります。

 デューティサイクルは、入力電圧、実効出力電圧、巻き数比の関係式です。

<strong>式1:巻き数比とデューティサイクルの関係式</strong> 式1:巻き数比とデューティサイクルの関係式

 この設計事例の巻き線比の計算結果を示します。

 上記の計算結果にて、1:1の巻き線比が最も近似となります。

実用的ヒント

 多くの場合、巻き線比は整数ではありませんが、整数の巻き線比を使わざる得ません。これに関しては比が重要で、絶対的な巻き数が重要ではないことを覚えておいていください。例えば、計算した比が1.5だった場合、最良の選択は1:1や1:2ではなく、2:3の巻き線比です。最も近似の巻き数比は式1で計算でき、デューティサイクルが安全であるかも確認できます。式2は、式1と同じですが、デューティサイクルに関して整理し直してあります。

<strong>式2:巻き数比とデューティサイクルの関係式</strong> 式2:巻き数比とデューティサイクルの関係式

 選択した1:1は、計算した1:1.09に非常に近く、最大デューティサイクルは0.38になります。

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