必要なギャップ長(lg)は以下の式で計算できます。
Aeffはギャップ脚の有効断面積で、ギャップのフリンジング磁束の影響を含む。有効断面積(Ae)は通常、コアの最も薄い部分の形状断面で、四角脚の場合は幅×深さで、円柱脚の場合はπr2。フリンジング磁束は、形状断面積の110〜125%になる有効断面積Aeffを与えるこの値に影響を及ぼす。
EP10コアの、中央円柱脚の径は3.45mmです。この事例は低電力コンバーターの設計なので、フリンジング磁束は特に重要ではないことから、形状断面積を第一近似とします。
概略的な必要なギャップ長は以下になります。
銅損はオームの法則(Ploss=I2RMSR)により計算できます。
一次側および二次側に流れるRMS電流は、一次側がオンで二次側がオフの状態に流れる電流の平均です。
使うことができる最大のワイヤ太さは、ボビンサイズとビルド高に依存します。図6はEP10コア用のボビンです。
巻き数は全部で28+28ターン必要で、導入および導出ワイヤも必要です。機能絶縁で十分なので、絶縁間隙は不要です。
層あたり14巻きの4層巻きをボビン幅に収めるために、ワイヤ径は5.80/14=0.414mmである必要があります。ビルド高が4×0.406=1.62mmなので、AWG20のワイヤが適します。これは、絶縁用のテープ層をいくつか含んでも、問題なくボビンのビルド高2.08mmに収まります。
AWG20ワイヤを使った14ターンは最適ですが、もうワンサイズ太いAWG18を使って銅損を減らすとすれば、層毎に最大11ターンなのでビルド高6×0.51=3.06mmで6層が必要になります。これではボビンのビルド高を超えてしますので、この選択はできません。
外周寸法は16.23mmなので、この設計例ではAWG20ワイヤのDC抵抗は0.5mΩで巻き当たり14mΩ前後です。銅損は、I2Rから一次側が23mW、二次側が22mWになります。
全銅損は45mWで、トランスを通る全電力の約1%なので満足な数値です。
この設計例では、一次巻き線と二次巻き線のワイヤゲージと巻き数比はほぼ同じです。これは、単純なDC-DCコンバーターでは普通のことですが、一次側と二次側に異なるゲージを使うことに意味がある他のアプリケーションの多くはそうなりません。
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※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。
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