それでは実際の応用例として、USB Type-C充電器でスマートフォンなどのバッテリー駆動デバイスを急速充電する例を見てみましょう。急速充電を実現するには、USBの標準である5Vよりも高い電圧を印可し、より高電流をバッテリーへ流す必要があります。5Vよりも高い電圧を供給するためには、USB PDによるネゴシエーションが必要です。
実際に、USB Type-C充電器で、スマートフォンの間のUSB Type-CのCCラインを介した通信をモニターして調べてみましょう。STが提供しているSTM32G0 Discoveryボードと、STM32CubeMonitor UCPD*2)を使用することで、通信内容のモニターができます(図7)
この通信モニターの内容から、通信手順を理解できます。STM32CubeMonitor UCPDを使用して得た通信ログの内容から調査した、USB Type-C充電器でスマートフォンの間のVBUS供給電圧を5V→9Vに変更した際の通信手順を図8に示します。この通信手順では、USB PDのプロトコル層で説明したデータメッセージの「Source_Capabilitiesメッセージ」、コントロールメッセージの「GoodCRCメッセージ」「Requestメッセージ」「Acceptメッセージ」「PS_RDYメッセージ」を使用しています。
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