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そもそもマイコンとは何? 分かりやすく教えてQ&Aで学ぶマイコン講座(94)(3/6 ページ)

» 2024年08月27日 10時00分 公開

マイコンの仕事

 家電製品の中でマイコンが担う仕事は、それほど特殊なことではありません。主に次のような例が挙げられます。

(1)表示

 表示機能は、ユーザーが電気製品の状態を知る上で重要です。動作状態を表示したり、動作していないときには、時刻を表示したりします。液晶ディスプレイやセグメント型のLEDディスプレイで文字を表示したり、単にLEDを点灯/点滅させて状態を通知したりするだけの製品もあります。ユーザーが電気製品を使う上で、欠かせない機能です。

(2)音

 最近では言葉を発する電気製品(電子レンジや火災報知機など)も少なくありませんが、よりシンプルな例では音楽を流したり、電子音を出したりして、電気製品の動作状態をユーザーに知らせます。体温計や血圧計などのヘルスケア機器に多く実装されている機能です。

(3)モーターやバルブ(弁)の制御

 マイコンは、モーターやバルブを制御するための信号を生成できます。モーターの回転スピード/回転方向を変える信号や、バルブを開閉する信号を作り出せます。また、テレビのリモコンで使う赤外線用の信号も生成できます。マイコン内部で生成されたこれらの信号を汎用インタフェースなどの入出力端子(GPIO)を介して外部に出力し、実際にモーターを駆動する大電力素子や赤外線信号を送出する光素子を制御します。

(4)電気信号の測定と出力

 センサー素子などが出力する電圧を測ることができます。サーミスターのような温度センサーをマイコンにつなげば温度を測定できますし、光センサー(輝度センサー)を接続すれば輝度を測ることが可能です。もちろん、電池などの電圧も直接測れるので、電池の交換時期を表示することもできます。マイコンはこれとは逆に、所要の電圧を出力することも可能です。一定電圧を出すことができるため、他の電気素子に対して基準電圧を供給する「リファレンス電圧源」としても機能します。こうした機能を実現する際には、マイコンに集積された、A-Dコンバーターをはじめとする各種アナログ回路を活用します。

(5)通信

 最近では、PCのみならずさまざまな機器でUSBインタフェースやWi-Fi、Bluetoothといった通信機能の搭載が欠かせなくなっています。この他にもマイコンには、単純なデータを他のICとやりとりする機能が付いています。「通信機能のかたまり」ともいえるのが自動車です。現代の自動車には、数え切れないほどのマイコンが使われています。それらのマイコン一つ一つがCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)といった標準規格に対応する通信インタフェースを介して連携し、自動車全体を1つのシステムとして動作させています。

(6)演算/判断機能

これがマイコン本来の機能です。上記(1)〜(5)を統合して機能させる際に、演算を実行するとともにその結果に基づく判断を下す役割を担い、機器の構成要素をつかさどる「司令塔」の働きをします。例えば、サーミスターの出力電圧を測定し、それを温度情報に換算して表示したり、モーターの負荷を計算して駆動能力を調節したり、複数の仕事を統合して1つの仕事としてまとめたりするのもマイコンの重要な仕事です。実際には、マイコンの中にあるCPU(Central Processing Unit)と呼ばれる中核回路がこの機能を担います。

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