1つのマイコンでも、プログラムを変えることで適用範囲が広がり、さまざまな電気製品に使えるようになります。ここでは、身近な生活家電の中で、マイコンがどのような製品にどのような形で使われ、どのような役割を担っているかを具体的に見ていきます。
冷蔵庫や洗濯機、エアコンといった生活家電では、表示機能やタイマー機能、コンプレッサーやモーターを制御する機能、温度制御などでマイコンが活躍しています。図2は冷蔵庫の例です。
最近は、機械的なボタンの代わりにタッチパネルを搭載した冷蔵庫も増えているため、マイコンのタッチパネル機能も使われています。
図3は炊飯器の例です。炊飯時間を制御するタイマーや、炊飯時のヒーターの温度調整などをマイコンが行います。
その他にも、ヘルスケア機器の血圧計では、モーター制御、バルブ制御、表示機能をマイコンが担っています。体温計では、温度センサーの信号を読み取る機能にマイコンが使われています。
さらに身近な例では、リモコンがあります。テレビ、エアコン、最近では照明器具や扇風機にもリモコンが付属しています。ボタン操作の検知や、本体と通信する赤外線信号の制御にもマイコンが使われています。
趣味などで使われている電気製品でも、マイコンは多く使われています。例えば、カメラのオートフォーカスやシャッタースピード制御、手振れ補正、そして自転車ではスピードメーターやギアチェンジ(変速機能)にも、マイコンが使われています。高級な自転車だとサドル部分のサスペンション、電動アシスト自転車ではアシスト用のモーター制御などにもマイコンは使われています。
また、産業機器にもマイコンは多く使われています。工作機械はもちろんのこと、家庭用の電動ドリルなどにも、モーターの回転数制御やバッテリー残量チェック用に使われています。
最近では、マイコンにAI機能を実装する(組み込みAI)極めて先進的な応用例も増えてきました。図4は、電動アシスト自転車に組み込みAIを活用して「空気入れタイミングお知らせ機能」を搭載した例です。この例では、新たに空気圧センサーを付加するのではなく、もともと自転車に装備されているマイコンを使ったスピード制御装置にAI機能を付加することで、適切な空気入れのタイミングを自動で知らせる機能が実装されています。具体的には、前輪に取り付けられているスピードセンサーから得られる車速と、アシスト用のモーターの回転数から、タイヤの空気圧の状態を検知しています。
このように、家電製品や産業機器などにおいて組み込みAIで正常動作や異常動作を判断させて、安全性や機能性の向上を図っています。
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