先に述べたように、マイコンは現在、幅広い分野のさまざまな機器に搭載されており、多彩な役割を担っています。ただし、いずれの場合もマイコンの基本的な動作は共通しており、大きく分けると次の3つになります。
基本的にこの3つを繰り返すことで、さまざまな複雑な処理をこなしています。
アクセスとは具体的には、表示したり、赤外線の信号を出したり、ボタンの情報を取り込んだり、時間を測ったり、周辺のICと通信したりすることです。
マイコンは、大まかに「メモリ」「CPU」「周辺回路」という3つの機能ブロックで構成され、これらが連携することで3つの基本動作を実現しています(図6)
さらに詳しく見てみましょう。図7に、より詳細な内部構成図を示しました。
メモリとひとことで言っても、実際にはいくつかの種類に分かれます*1)。一度データを書き込んだら、その後はあまり書き換えないという用途に使うフラッシュメモリやEEPROMには、一般的に変更回数の少ないプログラムが格納されています。これに対し、CPUの演算データは頻繁に書き換えが行われます。そのようなデータはRAM(Random Access Memory)とよばれるメモリに格納されます。
*1)Q&Aで学ぶマイコン講座(37)「メモリの種類と特長」
CPUも、いくつかのブロックで構成されています。大きく分けて、「ALU(Arithmetic and Logic Unit)」「レジスタ」「シフタ」の3つです。ALUは算術演算、論理演算を担います。シフタは、データをシフトする(ずらす)操作やローテート(循環)させる操作に使います。レジスタは、メモリから取り出したデータを演算前に一時的に格納するのに利用します。
周辺回路には、先に述べた通りさまざまな種類があり、マイコンの品種によって搭載されるものが異なります。図7では、例として通信機能とアナログ機能、タイマーなどを挙げました。通信機能には各種の標準規格に沿ったものがあり、代表的なものにSPI、USART、I2Cがあります。この他にも、オーディオ専用のI2S、皆さんもよくご存じのUSBやWi-Fi、Bluetoothなどもあります。
アナログ機能としては、アナログ信号をデジタルデータに変換するA-Dコンバーターや、その逆にデジタルデータをアナログ信号に変換するD-Aコンバーターなどが用意されています。その他、2つのアナログ信号の大小を比較するコンパレータなども、アナログ機能の1つです。*2)
*2)Q&Aで学ぶマイコン講座(92)「デジタル回路とアナログ回路の違いって何? 内部構成や仕組みを解説」
タイマーの基本的な機能は、時間を計るというシンプルなものです。ただ、高機能なタイマーになると、入力キャプチャーやトグル、PWMの出力機能を備える場合もあります。*3)
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