マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、初心者の方からよく質問される「そもそもマイコンとは何? 分かりやすく教えて」についてです。
素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。
今回は、初心者から多く寄せられる最も基本的な質問です。
最も基本的なことをお聞きします。そもそもマイコンとは何でしょうか? 分かりやすく教えてください。
マイコンとは、さまざまな電気製品の中で、その構成要素である電気的な回路や機械的な部分を制御する半導体チップです。人間の器官に例えれば、頭脳に相当するといえるでしょう。プログラムを与えると、それに沿ってさまざまな制御方法や演算を実現できるようになります。
本来マイコンの目的は、計算を実行することでした。しかし、さまざまな機器をコントロールする用途に使われるようになり、搭載される機能は年々増えていきました。そして近年では、計算機能の他にも、多くの便利な機能が搭載されています。生活家電だけではなく、産業機器やヘルスケア機器、玩具、IoT(モノのインターネット)機器などにおいて、いわゆる汎用コントローラーとして幅広く使用されています。
マイコンには、計算/判断機能以外にも次のような機能が備わっています(図1)
電気製品を分解してみると、プリント基板と呼ばれる電気回路に黒いチップが実装されています。写真1(a)は、実際にプリント基板に実装されたマイコンです。また、写真1(b)のように、その他にもさまざまな形状のマイコンがあります。
ただし、マイコンも万能ではなく、処理能力には限界があります。例えば、動画や音楽の再生では、処理能力が追い付かず動画のスムーズな動きを再現できない、音楽の音が途切れてしまうといったことがあります。このような高速処理が求められる場合には、マイクロプロセッサ(MPU)が使用されています。マイクロプロセッサは、マイコンよりも演算ビット数が多く、複雑な演算を高速で処理できる構造になっています。また、高速で動作するため、マイコンと比べて桁違いの演算能力が得られます。さらに、メモリの大容量データを高速で処理できるため、動画や音楽の処理に適しています。
本記事ではマイコンについて解説しますが、マイコンとマイクロプロセッサの違いについては「Q&Aで学ぶマイコン講座(22)MCUとMPUの違いって何?」を参照してください。
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