2025年1月に米国ネバダ州ラスベガスで開催された「CES 2025」では、当然のごとくエッジAIが大きなトレンドの一つだった。各半導体メーカーは、AIアクセラレーターや、NPU(Neural Processing Unit)を搭載したマイコンなど、多様なエッジAIソリューションを展示していた。
エッジコンピューティングは「CES 2025」でも大きな話題になった。メーカーは、事前トレーニング済みのエッジデバイスがローカルで推論を実行し、クラウドと一度もやりとりすることなく目的の出力を生成する、無数のユースケースを強調していた。
これらのノードでは複雑さが増し、コンテキスト認識型デバイス用のセンサー間における融合と連携によるマルチモーダルサポートだけでなく、コンピューティング能力を高めるための複数のコアも含まれるようになっている。
組み込みエンジニアは、設計と開発の負担を軽減するソリューションを強く求めている。多様なソリューションが存在するが、クラウドのサーバでアプリケーションを開発し、それを仮想化またはコンテナ化してエッジで推論を実行する、という方法が多く存在する。ただし、結局のところエッジコンピューティングのアプリケーションで、万能のソリューションは存在しないというのが現状だろう。
インテリジェントな組み込みエッジへの参入を成功させるには、何らかのハードウェアアクセラレーションのサポートが極めて重要になっていることは明らかだ。これに対するメーカーのアプローチは、豊富なソフトウェアサポートとリファレンスコードを備えたハードウェアアクセラレーションMCU(Micro Controller Unit)から組み込みNPU(Neural Processing Unit)まで多岐にわたる。
例を挙げると、Synapticsは、GoogleのMLIR準拠のプラットフォーム「Astra」を展開する。SynapticsでIoTプロセッサ担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるVikram Gupta氏は「Astraは、オープンなRISC-Vコアベースのシステムのようなものだ。われわれはこれにエンジンを追加して、コンパイラが、エンジンを使用するか、汎用的に動作するかを決定するようにした」と説明する。
「われわれは意図的にオープンフレームワークを選択した。そのため、PytorchモデルでもTensorFlow Liteモデルでも問題ない。MLIR表現にコンパイルし、そこからエンジンのバックエンドに進める」とGupta氏は付け加えた。
Texas Instruments(TI)は、太陽光発電システムのインバーター向けに、NPUを統合した「C2000」マイコン「TMS320F28P55x」を展示した。アーク故障を検出できるという。電力変換と同時に、AIを用いてリアルタイムでアーク故障検出を実行する。
Microchipは、同社のマイコン「PIC16LF1559」と、タッチ検出用アルゴリズムである「mTouch」を組み合わせ、水でぬれていてもタッチを検出できるデモを展示した。
【翻訳、編集:EDN Japan】
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