使用されているコンデンサーは2種類あります。入力コンデンサーと出力コンデンサーです。
入力コンデンサーは、電源ICの入力電圧を安定させるとともに、入力電源ラインのリップル電流に起因するノイズを低減します。そのため電源ICになるべく近い位置に配置する必要があります。
また、出力コンデンサーは、インダクターとLCフィルターを構成し、出力電圧を平滑化すると同時に、出力電圧のリップルノイズの低減を行います。また、負荷側の急激な変化(過渡応答)時に対応します(図4参照)
実際のコンデンサーには寄生の抵抗成分とインダクター成分があります。抵抗成分を等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance:以下、ESR)と呼び、インダクター成分を等価直列インダクタンス(Equivalent Series Inductance:以下、ESL)と呼びます。略称をESIではなくESLと表すのは、一般的な電子回路ではインダクターはLで表すからです。
ESRとESLはそもそも寄生要素なので、小さい方が理想的です。従って、実際のコンデンサーを選ぶ場合も低ESR、低ESLのものを選びます。ESRとESLの値はデータシートに記載されています。
積層セラミックコンデンサー(Multi Layered Ceramic Capacitor:以下、MLCC)は、構造上他のコンデンサーに比べて低ESR、低ESLを実現できます。また、高い周波数になるほどノイズ除去効果が優れていて、高性能なフィルターを形成できます。
しかし、MLCCの静電容量は周辺温度によって変化します。これは、MLCCに使用されている材料によるものであり、メーカーに関係なく、どのMLCCでも起きます。そのため、MLCCは、温度補償系と、高誘電率系の2種類に分けられます。温度補償系は、温度変化による静電容量の変化率が小さいですが、原料の比誘電率が高誘電率系に比べて小さいので、静電容量を大きくできません。一方、高誘電率系は、原料の比誘電率が大きいので、小型で大容量が得られることが特長ですが、温度特性に幅があります。
コンデンサーの端子間に印加される電圧は、必ず定格電圧以下にします。「印加される電圧」とは、通常の使用状態における印加電圧の他に、サージ電圧、静電気、スイッチON-OFF時のパルス、リプル電圧などの異常電圧も含みます。
コンデンサーの実効静電容量値は、印加される電圧により変化します。この現象は、高誘電率系MLCCに特有のもので、誘電体がセラミック以外のコンデンサーや、温度補償系MLCCではほとんど起こりません。高誘電率系MLCCを使用する場合はシミュレーションをして確認しましょう。
コンデンサーを選定する時のポイントを表1に示します。
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