実際のインダクターは、L値以外に抵抗成分を持っています。これを直流抵抗(以降、Rdc)と呼びます。Rdcが大きいと電力損失が大きくなり回路効率を落とします。
一方で、Rdcの低減化は、直流重畳特性やサイズの小型化などとトレードオフの関係にあります。さらに、次に説明する自己温度上昇に影響します。そこで、なるべくRdcの小さいものを選びます。
インダクターに電流が流れると、Rdcによって発熱します。自己温度上昇による定格電流値をItempとして規定しています。この規定値を超えて使用した場合に、部品の故障や破損に至る場合があります。
Itempの具体的な数値はメーカー、インダクターの種類によって異なりますので、各インダクターのデータシートなどを確認してください。Itempの値としては出力電流以上であることが目安です。
実際のインダクターは、浮遊容量を持っているため、自己共振現象が発生し、共振周波数よりも高い周波数では、インピーダンスは減少します。それよりも高い周波数では、インピーダンスが低下して本来のインダクターとして機能しなくなります。自己共振周波数は、次の式で求まりますので、L値が小さくなると高くなります。
インダクターを選定する時のポイントを表2に示します。
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