図4はSanghi氏の2009年のプレゼンテーションであるが、EPROMを組み合わせる事で、Mask ROMの製造や検証に伴う期間を大幅に短縮できた。UVEPROMにしてもEEPROMにしても、開発中は何度でも消去して書き直しを行えるし、一度開発が完了したらあとは書き込むだけ(UVEPROM版では、ガラス窓のない安価なOTPパッケージを利用できたし、EEPROMではプログラム書き込み時に再書き込み可能なヒューズを飛ばすだけでよかった)だった事で、開発から量産までの時間を大幅に節約できたことが、この躍進に繋がっている。前回の記事「今なお現役、1000種以上が存在するIntel空前の長寿MCU「8051」」紹介した「Intel 8051」にしても、その元になったIntel 8048ではまずEPROM版のIntel 8748の開発を行ったというあたりが、MCUにおけるMask ROMの書き込みがいかに障害になっていたかを示している。
図4:ESC(Embedded System Conference)Silicon Valley 2009におけるSanghi氏の"The Embedded Processing Iceberg: Limitless Innovation Opportunities"とい基調講演でのスライド。下の方が切れているのはご容赦を[クリックで拡大]余談だが、同社はこれに続き1999年にはフラッシュメモリを搭載した「PIC16F84」を発表している。これに関してSanghi氏は先ほどのスライドに続く形で、フラッシュメモリの登場でMCUがField Re-Programmableになり、(なぜか)Product Definitionの期間短縮が可能になり(図5)、さらにソフトウェアのアップデートで機能が向上する(図6)といった話も紹介している。図5はともかくとして、図6に示すような話を2009年に論じていた辺りはSanghi氏の先見の明を示す例の一つとしても良いかもしれない。
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