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バッテリー効率を向上させるブラシレスモーター向けゲートドライバー、STコードレス家電などに

STマイクロエレクトロニクスは、3相ブラシレスモーター向けの次世代ゲートドライバー「STDRIVE102H」「STDRIVE102BH」を発表した。低消費電力で、チャージポンプ回路や保護機能を搭載し、幅広い用途に対応する。

» 2025年06月24日 09時00分 公開
[EDN Japan]

 STマイクロエレクトロニクスは2025年6月、3相ブラシレスモーター向けの次世代ゲートドライバー「STDRIVE102H」「STDRIVE102BH」を発表した。既に量産中で、5×5mmまたは6×6mmのQFNパッケージで提供する。1000個購入時の単価は、約1.20米ドル(約173円)だ。

3相ブラシレスモーター向け高集積ゲートドライバ「STDRIVE102BH」「STDRIVE102H」 出所:STマイクロエレクトロニクス

 STDRIVE102Hは1シャント制御、STDRIVE102BHは3シャント制御に対応。両製品とも動作電圧は6〜50Vとなる。駆動電流は2本のアナログピンを使って設定可能。外部MOSFETに供給するゲート駆動電流を抵抗分圧で調整することで、パワー段の性能を最適化できる。スイッチング時のスルーレートもゲート抵抗なしで調整可能だ。

 スタンバイモードでは、電流を低く抑えてバッテリー持ちを良くする。主な用途として、コードレス電動工具や白物家電、電動自転車、モバイルロボット、産業用ドライブを想定している。

ハイサイドMOSFETの100%オン状態を維持できるチャージポンプ回路

 ハイサイドMOSFETの100%オン状態を維持できるチャージポンプ回路を搭載し、PWM(パルス幅変調)の100%デューティサイクルを必要とする機器の設計に利用できる。チャージポンプ回路でハイサイドとローサイドのMOSFETを同じゲート−ソース間電圧で駆動でき、パワー段の動作バランスを整えられる。

 LDOレギュレーターも内蔵していて、ドライバーのローサイド回路に12V、アナログフロントエンドに3.3Vを供給しつつ、外部の周辺機器にも電力を供給できる。

 電気や熱による障害に対し、さまざまな保護機能を備える。低電圧ロックアウトやサーマルシャットダウンに加え、ハイサイドとローサイドMOSFETのドレイン−ソース間電圧を監視することで、過電流保護の冗長性を確保した。こうした保護機能が作動すると、即座に高速フォルト信号が反応し、システムの安全性と信頼性を高める。

 評価ボード「EVLDRIVE102H」「EVLDRIVE102BH」を使用すれば、ベクトル制御や6ステップモーション制御を用いたシステムの開発期間を短縮できる。これらのボードはモーターの逆起電力を検出する機能と、位置センサーを搭載するモーター用の入力機能を搭載し、STM32 Nucleoホストマイクロコントローラーボードとの接続用標準ヘッダも備える。また、モーター制御ソフトウェア開発キット「X-CUBE-MCSDK STM32」は、モーターの始動や動作に必要なツール、コードを提供し、開発期間の短縮を支援する。

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