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マイコンの低消費電力モードの使い分けQ&Aで学ぶマイコン講座(104)(3/4 ページ)

» 2025年06月26日 10時00分 公開

RTCは必要か?

 最近の生活家電には、時計やカレンダー機能が付いていて、使用していない時でも時間や日付が表示されています。そのため、RTC機能とLCD機能は、低消費電力モードの時も常に動作している場合が多くなっています。

 しかし、表2で示したようにRTCとLCDを動作させると、電流値が100〜200μA増加します。

<strong>表2:各モードの消費電流値(再掲)</strong> 表2:各モードの消費電流値(再掲)[クリックで拡大]

 そこで、アプリケーション開発者は、RTCとLCDドライバを動作させながら、いかに電流値を抑えるかを検討しなければなりません。

 時計やカレンダー機能でRTCを使うのではなく、タイムベースタスクの基準タイミングを作るためならばRTCだけで、LCDは必要ありません。先ほどのガススマートメーターの場合、測定周期を測るためにRTCは常に動作していて、測定値は通信機能でセンターシステムに集約して送られるので、LCD表示は必要ありません。ただ、人が直接検針する際に、LCD表示が必要になる仕様の場合は、LCD表示も必要になります。通常、LCD表示は消えていて、検針の時だけ表示するようにすれば、無駄な電力を抑えられます。

 もう一つの例として、家庭用の体組成計を見てみましょう。最近の体組成計は電源スイッチが無く、人が乗ると自動的に体重やBMIや体脂肪などを表示してくれます。これはSHUTDOWNモードで待機していて、人が乗ったことをトリガーにして、RUNモードに復帰すれば実現できます。最初に生年月日と身長、性別を登録しておくと、毎年年齢が更新されて、年齢に見合った測定結果が表示されるという便利な機能が付いている製品もあります。この場合、待機時にもRTCでカレンダー機能を動作させておかないと、年齢を更新できません。そのためには、STANDBYモードでRTCを動作させておく必要があります。STOP2モードでRTC動作でも実現できますが、電流値がSTANDBYモードの時よりも3倍近く大きくなります。STOP2モードの方が、復帰時間が速いのですが、使用する人間の時間の感覚からするとSTANDBYモードの65マイクロ秒でも、全く問題はありません。

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