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マイコンの低消費電力モードの使い分けQ&Aで学ぶマイコン講座(104)(4/4 ページ)

» 2025年06月26日 10時00分 公開
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RAMのデータ保持

 低消費電力モードに入る前に、マイコンの状態や何かしらのデータを保持しておきたい場合は、RAMのデータ保持機能が必要です。

 低消費電力モードからRUNモードに復帰した際に、全てのデータをリセットできるのであれば、SHUTDOWNモードが使えます。しかし、何かしらのデータを保持しておきたい場合は、STANDBYモードが必要です。STM32U0のSTANDBYモードの場合、使用できるRAMには制限がありますので、その制限を超えるデータを保持しておきたい場合は、STOP1モードまたはSTOP2モードが必要になります。

 データを記憶する手段として、揮発性メモリのRAMや不揮発性メモリのEEPROMおよびフラッシュメモリがあります*3)。内蔵SRAMは簡単に扱えて、アクセス速度は速いのですが、電源を切ったらデータが消えてしまいます。EEPROMやフラッシュメモリは、電源を切ってもデータは保持されますが、アクセス時間がRAMに比べて長いという欠点があります。データを保持するために、メモリをアクセスする時間が長いと、その分無駄な消費電流が発生します。さらに書き込むときに、消費電力が大きくなるので、低電力アプリケーションに適しません*4)。そこで、内蔵SRAMにデータを素早く保存して、素早く低消費電力モードに移り、電力を節約します。

 では、どんな情報を低消費電力モードでも保持する必要があるのでしょうか? 具体的な項目は各ユーザーのアプリケーションに依存するので一概には言えませんが、例えば、A-DコンバーターやD-Aコンバーターのキャリブレーション値や、その際に使用しているセンサーの使用環境などが考えられます。

 また、STM32U0のRTCは年月日までレジスタを持っていますが、さらに10年単位の月日をカウントする場合は、RTCのレジスタを超える桁数のデータが必要になるので、内蔵SRAMに保存する必要があります。

 また、アプリケーションによっては、低消費電力モードから、別の低消費電力モードに遷移する場合があります(図2

<strong>図2:STM32U0のモード遷移</strong> 図2:STM32U0のモード遷移[クリックで拡大]
STM32U0リファレンスマニュアルから抜粋

 複雑な遷移を行う時に、どの低消費電力モードにあるのかを記憶しておく必要があります。専用のフラグを持っているマイコンもありますが、無い場合はユーザーがSRAMの中に設定する必要があります。そのような場合にはSRAMのデータ保持機能が必要です。

*3)Q&Aで学ぶマイコン講座(37)「メモリの種類と特長
*4)Q&Aで学ぶマイコン講座(55)「マイコン内蔵フラッシュメモリの書き込み&消去動作

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