マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、初級者の方からよく質問される「普通のUARTと低消費UARTと何が違う?」についてです。
素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。
今回は、初級者から多く寄せられる質問です。
マイコンのマニュアルに普通のUARTと低消費UARTがあるのですが、低消費UARTは、普通のUARTとは何が違うのですか?
マイコンによって通信機能の呼び名や機能が異なりますので、本記事ではSTマイクロエレクトロニクス(以下、ST)のSTM32L4シリーズ(以下、STM32L4)*1)を例にして説明します。
STM32L4には、「USART」と「LPUART」があります。USARTが通常の通信機能のユニバーサル同期/非同期受信機/送信機です。LPUARTは、低消費電力ユニバーサル非同期受信機/送信機です。
LPUARTの最大の特徴は、32.768kHzのクロックから、最大9600ボー(bauds)のUART通信を実現できる機能です。クロックが32.768kHzと低速なので、消費電力を抑えることができ、かつ、双方向UART通信が可能です。
さらに、LPUARTの割り込みによって低消費モードから復帰することができるので、低消費動作に適した周辺機能です。
ただし、USARTに比べると、いくつか制限されている機能があります。
基本的な使い方は、USARTと同じです。クロックソースに32.768kHzクロック以外のシステムクロック、高速内蔵16MHzも選べるので、USARTと同じ通信速度を実現することができます(表1)
| 機能 | USART | LPUART |
|---|---|---|
| モデムのためのハードウェア制御 | ○ | ○ |
| マルチプロセッサ通信 | ○ | ○ |
| 同期モード | ○ | ー |
| スマートカードモード | ○ | ー |
| 単線半二重通信 | ○ | ○ |
| IrDA SIR ENDEC | ○ | ー |
| LINモード | ○ | ー |
| 2つのクロックドメインとSTOPモードからの復帰 | ○ | ○ |
| 受信タイムアウト | ○ | ー |
| Modbus通信 | ○ | ー |
| オートボーレート検出 | ○ | ー |
| Driver Enable | ○ | ○ |
| 〇:搭載 ー:非搭載 | ||
*1)STM32L4シリーズ
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