LPUARTは、低消費電力で全二重非同期シリアル通信が可能な周辺機能です。最大の特徴は、32.768kHzの低周波数クロックを使用して最大9600ボー(baud)/秒の非同期シリアル通信が可能なことです。
さらに、32.768kHzの低周波数クロック以外のクロックソースによってさらに高いボーレートを得ることができます。
デフォルトのクロックソースである周辺機能用クロック(以下、PCLK)、または内蔵16MHz発振回路(以下、HSI)、低速外部32kHz水晶発振回路(以下、LSE)またはシステムクロック(SYSCLK)です。
クロックソースがLSEのとき、最大ボーレートは9600ボーです。その他のクロックソースの場合、周波数が80MHzであるなら、26メガボーが実現可能です。
LPUARTは、PCLKから独立したボーレートプログラミング機能になっています。通信に使用されるクロックは、SYSCLK、PCLK、HSI、LSEから選択されます(図1中のfck)
一方で、レジスタのアクセスなどにはPCLKで、周辺機能用の内部バス(以下、APBバス)が使われます。そのためクロックの構成は、fckとPCLK&APBバスのデュアルクロックドメインになっています。例えば、LSEをfckとして選択し、通信機能のみ動作させる場合は、PCLK&APBバスのドメインは停止させることができて、低消費電力が実現できます(図1)
マイコンがSTOPモード*2)のときでも、LPUARTはUARTフレームの着信を待つことができ、その間の消費電力を非常に低く抑えることができます。すなわち、最小の消費電力で非同期シリアル通信を可能にするための周辺機能だと言えます。
LPUARTはRUNモード、低電力RUNモード、SLEEPモード、低電力SLEEPモードでは、クロックソースに関わらず動作可能です。そして、LPUARTの割り込みは、SLEEPモード、低電力SLEEPモードから復帰させることができます。
さらに、クロックソースがHSIまたはLSEの場合、STOP1モードとSTOP2で受信機能は動作し、受信完了の割り込み(RXNE割り込み、スタートビット検出、アドレス一致、任意のデータ受信など)で、復帰することができます(表2)
| モード | 説明 |
|---|---|
| RUNモード | 動作 |
| SLEEPモード | 動作。割り込みはSLEEPモードから復帰した時に発生 |
| 低電力RUNモード | 動作 |
| 低電力SLEEPモード | 動作。割り込みは低電力SLEEPモードから復帰した時に発生 |
| STOP1 | LPUARTは、LPUARTクロックがHSIまたはLSEに設定されている場合、STOP1またはSTOP2から復帰できる |
| STOP2 | |
| STANDBYモード | パワーダウン状態。復帰後、再初期化が必要 |
| SHUTDOWNモード | パワーダウン状態。復帰後、再初期化が必要 |
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