①Ronによる損失はジュール損(I2R損)です。
まずドレイン電流(ID)波形を図1に示すように電力伝送に関する矩形波成分(IM)とチョークの励磁成分(ΔIp)に分解します。
②矩形波はIMとδで表され、IMとIoの関係は各コンバーターで異なります。
③励磁成分の実効電流IEXは図からも分かるように(ΔIp/2)をピークとする三角波ですから実効値IEXは2式になります。
ΔIpに掛かる係数はδ<1、かつ3で除すること、さらにΔIpがIM対して小さいことを考慮するとあまりPonには影響しないと考えられますが条件によっては考慮に入れる必要もあります。このIEXは2式から分かるようにIoの影響を受けません。
④Ronによる損失Ponの計算
Pon=Id2Ron ですからPonは各成分の二乗和でそのまま計算できます。
①MOSFETの各電極にはCiss、Crss、Cossの寄生容量が存在します。これらの寄生容量の充電は信号源や電源から行われるためFET自身の損失にはなりません。ですがCissを除いて充電電荷は電源や信号源へ戻らず、FET内部で短絡、消費されるためCrssやCossの電荷はFETの損失として計算しなければなりません。
これらの充電電荷の放電1回当たりの静電エネルギーJcはCの基本式に従って、
です。
この放電がf回/秒繰り返されて損失Pc(W)になります。
4式から分かるようにPcは周波数fに比例します。1MHzを超えるような高周波動作ではオン抵抗を下げようとして大きなチップサイズのFETを使用するとPonは減少してもPcが増加して思ったほど総合損失が減少しない場合もあります。
ですからチップサイズには最適値があるということになります。
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