実際に起きていることは単純で、明示されている121nsの外付けRC時定数に加えて、デバイス内部に次のような暗黙の時間遅延(Td)が存在しているのだ。
Td=1/3MHz−1/8.28MHz=333ns−121ns=212ns
この212nsの内部遅延は、低周波から中程度の周波数ではデータシートの定番計算式を十分に正確なものにしているが、限界に近いマルチメガヘルツ領域まで性能を引き上げたいのであれば、無視できなくなる。従って、高周波で実用的な精度を持つFOO予測式は、次のような形になる。
FOO=1/(Vth Ct/Ic+Td)=1/(3.33v Ct/Ic+212ns)
この式をプロットすると、図2の赤い右下がりの曲線が得られ、10mAで20%を超える誤差が生じる。本来なら1MHzになるはずが、実際には約800kHzにしかならない。これはかなり残念な結果だ。
幸い、この問題には対策があり、しかも驚くほど簡単だ。必要なのは、Dch(discharge)ピンとThr(threshold)ピンの間に抵抗Rlinを1つ追加するだけだ。これはThrピンをIcRlinに等しい電圧だけ上方にバイアスし、電流対周波数の関係を直線化する働きをする。これによって、のこぎり波状のタイミングランプの継続時間は次の分だけ短縮される。
T=IcRlin/(Ic/Ct)=RlinCt=Td
これによって、555の内部遅延を打ち消すことができる。
それゆえ、図3に示すようにRlinCt=TdとなるようRlinを選べば、図4に示す通り、制御電流の全範囲にわたって非直線性の補償は(少なくとも理論上は)完全になる。すなわち、下記となる。
FOO=1/(Vth Ct/Ic+212ns−Td)=1/(3.33vCt/Ic+212ns−212ns)=1/(3.33vCt/Ic)=Ic 1000MHz
……理論上は、こうなる。
そこで疑問が生じる。この理論から実用的な成果を得られるのか、という点である。これについては近いうち詳しく述べたい。
【アナログ機能回路】:フィルター回路や発振回路、センサー回路など
【パワー関連と電源】:ノイズの低減手法、保護回路など
【ディスプレイとドライバー】:LEDの制御、活用法など
【計測とテスト】:簡易テスターの設計例、旧式の計測装置の有効な活用法など
【信号源とパルス処理】:その他のユニークな回路
10Hz〜1MHzで周波数を可変する「のこぎり波発振回路」
定番「TL431」2個の合わせ技、多用途な電流ミラー
万能のタイマーIC「LMC555」がまだ驚かせる、可変抵抗1個で4桁可変
多数の信号線に対するコモンモード電圧対策
PLDを使ったPWM信号発生器
チューニングが不要なオーディオ用LPFの設計法Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.