Texas Instruments(以下、TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(以下、日本TI)は2026年6月24日、電気化学インピーダンス分光法(EIS)エンジンを統合したバッテリーモニターIC「BQ79826Z-Q1」を発表した。EIS技術の採用により、EVやAIデータセンターなどの厳しいバッテリー監視への要求に応える。
Texas Instruments(以下、TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(以下、日本TI)は2026年6月24日、電気化学インピーダンス分光法(EIS)エンジンを統合したバッテリーモニターIC「BQ79826Z-Q1」を発表した。すでにサンプル提供を開始していて、2026年末の量産開始を予定する。
世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Expo & Conference 2026」(2026年6月9〜11日/ドイツ・ニュルンベルク)で発表された製品だが、2026年6月24日には、日本TIによる製品説明会が開催された。
TIのバッテリー管理システム(BMS)ICの第6世代品で、26セル直列チャネル構成を採用する。デバイス当たりの監視セル数は従来品(18セル)から44%増加し「業界最高クラスの監視セル数を実現した。これによりアーキテクチャの簡素化や、部品コストおよび基板スペースの削減に貢献する」(日本TI)としている。
最大の特徴が、TIのバッテリーモニターIC製品として初めてセル監視にEISを採用する点だ。日本TIの担当者によると「電気自動車(EV)の普及やAIデータセンターの拡大により、スマートで拡張性、安全性の高いバッテリー管理が求められている。具体的には、セル内部の状態をより正確に把握できること、より高速かつ高精度な測定ができること、これらをクリアしつつシンプルな設計を維持できることが要求される。この難しい要望に応える方法として、EISが有力視されている」という。
EISは、セルに励起電流を印加して、応答の電流と電圧からインピーダンスを算出する。これをさまざまな周波数で行い、インピーダンスのプロット(グラフ)を作成する。温度やチャージ状態など、特性によってプロット形状が変わってくるため、活用することでセルの状態をリアルタイムかつ連続的に監視できる。
日本TIの担当者は「体組成計は人体に微弱電流を流して体脂肪率や筋肉量などを計測するが、それに近いイメージだ。EISエンジンをICに統合したことで、温度センサーの数を減らしつつ測定精度を向上できるほか、セル固有の情報から、熱暴走をより早期に予防、検知できるようになった。また充電状態を正確に推定し、バッテリーに負担をかけずに長寿命と急速充電を実現できるようにした」と述べる。
自動車の電気システムにおける機能安全の国際規格であるISO 26262に準拠し、同規格における自動車用安全度水準(ASIL)で最も厳しいASIL Dにも対応する。「AIデータセンターの普及に伴い、電力貯蔵システム(ESS)にもより高精度なバッテリー監視が求められる。基本的に自動車のBMSは最高レベルの機能安全が要求されるため、ASIL D対応の安全性はESSでも効果的だ」(日本TI担当者)
BQ79826Z-Q1は、EISを用いた車載バッテリージャンクションボックス(BJB)パックモニターIC「BQ79881-Q1」や、オプションのTI通信ブリッジと組み合わせる前提で設計されている。
「組み合わせ方によって、さまざまなモジュールやバッテリー化学材料、機械設計に対応できる。コンパクトなEVから大型ESSまで設計の拡張が可能なため、開発工数の削減と、市場投入までの期間短縮が可能だ」(日本TI担当者)
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