自動車設計の進化で電子部品への要求はどう変わる？：DigiKeyとMolexが解説（1/4 ページ）

電動化が進む自動車の設計において、車載用エレクトロニクスに対する要求はどう変化しているのだろうか。コネクターなどを手掛けるMolexと、半導体／電子部品ディストリビューターのDigiKeyが解説する。

[Shawn Luke（DigiKey）, Matt McWhinney（Molex）, Kirk Ulery（Molex），EDN Japan]

　車載業界の変化に注目が集まっています。技術の進歩は自動車業界のさまざまなトレンドや最新情報を生み出しています。そのトレンドはゼロエミッション車や自動運転のような大規模なものから、小型化やエネルギー貯蔵方法などのニッチなものまで、多岐にわたります。

　今日の自動車にはかつてないほど多くの電子機器が搭載されています。消費者、運輸業者ともに高度な安全機能、インフォテインメント機能、先進のセキュリティ機能、乗客の利便性と快適性など、多くの機能を自動車に求めています。

　自動車において（そしてその他の運輸モードでも）、進化の土台となっているのが電源と相互接続コンポーネントです。本稿では、DigiKeyでテクニカルマーケティングエンジニアを務めるShawn Luke氏、Molex グループ事業開発マネジャーのMatt McWhinney氏、Molex 流通事業開発マネジャーKirk Ulery氏が、自動車設計における進化について語ります。

技術革新を生む「電動化」

　自動車メーカーによる自動車のスマート化、接続機能の強化が急速に進むにつれ、必要な電子部品の数は増え続けています。実際、Statistaによると、2030年までに新車購入コストの50％をエレクトロニクスが占めるようになると予想されています。

　「自動車のエレクトロニクス部品が爆発的に増えることで、無限の可能性が広がります」とUlery氏は指摘します。「EV（電気自動車）やその推進システムの最終形態がどのようなものであれ、自動車の進化においてエレクトロニクスは何よりも重要な役割を担います」

　自動車の電動化により、車両設計は革新的な新しい時代を迎えました。EVは従来型の内燃機関を搭載する必要がないため、自動車メーカーにとってバッテリーや充電ポートの配置、乗客や荷物のためのスペース確保などの自由度が増しました。

内燃機関を搭載する必要のないEVでは、バッテリーや充電ポートの配置、乗客や荷物のためのスペース確保などの自由度が増す［クリックで拡大］

　そのため、EV市場にはメーカーが次々と新規参入し、さまざまなモデルを提供するようになりました。それでも、まだ価格が高く、全体的に見ると標準化も不十分です。ですが、自動車メーカーが増えたことで、一般消費者はモデル（車種）やカスタマイズの選択肢が増えました。さらに、技術進歩と量産効果により、自動車の生産コストも下がると考えられます。