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タップ式高入力コンバーター(3)計算精度の検証:たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(33)(2/2 ページ)

» 2026年09月28日 12時00分 公開
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【精度比較】
 表1に計算値とシミュレーション結果の比較を示します。シミュレーションにおける電流変化幅ΔION、ΔIOFFはそれぞれ(I2−I1)、(I3−I4)を計算して求めました。両者はよく一致し、計算式の妥当性が確認できます。微妙な差は読み取り誤差や丸め誤差によるものです。

項目 計算値 シミュレーション 誤差(%)
オン時波形 I2(ON) 54.6mA 54.8mA 0.37%
I1 38.0mA 38.1mA 0.26%
I2 71.2mA 71.5mA 0.42%
ΔION 33.2mA (33.4)mA 0.6%
オフ時波形 I2(OFF) 632mA 630.9mA −0.17%
I3 825mA 822.9mA −0.25%
I4 440mA 438.8mA −0.27%
ΔIOFF 385mA (384.1)mA −0.23%
表1*条件①での結果比較 ( )内は計算による

条件② Vcc=50V時(Vcc=50V ton=5.63μ toff=4.37μ)

 計算式は省略してシミュレーション結果と計算結果を図4、表2に示します。この条件でも条件①と同等の誤差に収まっています。

図4 図4:条件②でのSpice解析結果[クリックで拡大]
項目 計算 シミュレーション 誤差(%)
オン時波形 I2(ON) 88.8mA 89.34mA 0.61%
I1 79.4mA 79.87mA 0.59%
I2 98.2mA 98.80mA 0.61%
ΔION 18.8mA (18.92)mA 0.69%
オフ時波形 I2(OFF) 1029mA 1035.3mA 0.61%
I3 1138.25mA 1145.0mA 0.59%
I4 919.75mA 925.50mA 0.63%
ΔIOFF 218.5mA (219.5)mA 0.46%
表2:条件②での結果比較 ( )内は計算による

<注>今回のシミュレーションモデルではPWMの遷移時間とSWモデルの非線形によりtonを指定値にしても実際の通電時間は若干広くなります。この点を考慮してVout=5Vになるようにtonを調整しています。

 ここまで説明してきたようにステップダウン型でもチョークを工夫することでδを確保しながら高入力電圧に対応できることが確認できました。
 タップ付き高入力コンバーターの説明は今回で終了し、次回からは同一極性の昇降圧コンバーターについて説明したいと思います。現在はIC技術の発達により降圧型と昇圧型を自動的に切り替えて動作する形式のコンバーターが主力ですが1石式で回路を工夫したコンバーターについて説明します。


執筆者プロフィール

加藤 博二(かとう ひろじ)

1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。


⇒【連載「たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計」バックナンバー】

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