エイブリックは、医療用の超音波機器向けデジタルパルサーLSI最新モデル「S-UM55A3E(viewphii A3Eチップ:以下、A3Eチップ)」を開発し、医療用ハンドヘルド超音波ソリューション第3世代品「viewphii-Gen3」のサンプル出荷を開始した。同社が2024年に譲受したソシオネクストのメディカル関連事業で展開されてきたシリーズで、譲受以来、初の新製品になる。
エイブリックは2026年10月22日、医療用の超音波機器向けデジタルパルサーLSI最新モデル「S-UM55A3E(viewphii A3Eチップ:以下、A3Eチップ)」を開発したと発表した。それに伴い、A3Eチップ4個と画像処理LSI「SC2A31AR3(viewphii B3チップ:以下、B3チップ)」1個を搭載する医療用ハンドヘルド超音波ソリューション「viewphii(ビューフィー)シリーズ」第3世代品「viewphii-Gen3」のサンプル出荷を開始した。
超音波検査では、体内に超音波を送信し、骨や筋肉など組織からの反射波を映像化して体内の様子をモニタリングする。パルサーLSIは超音波の送信を担うチップで、新開発のA3Eチップでは、送信駆動電圧を従来の±40Vから±100Vへと拡大。超音波の出力を高めたことで、より高精細な画像描写を実現した。設計最適化やソフトウェアの改善により、駆動電圧を向上しつつ低消費電力、低発熱も実現している。
エイブリックの担当者は「スリムな日本人なら従来品でも十分に対応できたが、欧米人のように脂肪が多いと、±40Vでは深部まで届かなかった。viewphii-Gen3の±100V超音波は約30cmの深部まで届くため、ほとんどの人に対して使うことができる」という。また画質に影響してくるのが超音波の正負対称性で、独自技術により高品質な正負対称パルス波形を出力できることも強みだとする。
大型超音波機器向けのアナログIC開発で培った高耐圧スイッチ技術を活用し、送信チャネル数を従来の192チャネルから256チャネルへと拡張した。超音波機器で人体を検査する場合、体表は128チャネル、心臓は64チャネルなど部位によって使用チャネル数が異なってくる。最大256チャネルを使えることで、128チャネル2系統、192チャネルと64チャネル1系統ずつなど、1台に2種類のトランスデューサーを搭載したデュアルプローブ設計が可能になり、製品ラインアップの拡大に貢献する。
エイブリックではチップセットに加え、動作確認や画像確認用プローブ、評価ボード、ソフトウェアなど開発用プラットフォームも同時に提供し、医療機器メーカーの製品開発をサポートする。
viewphiiシリーズは、もともとソシオネクストが展開していたソリューションだ。同社メディカル関連事業は2024年にエイブリックへと譲渡されていて、今回のviewphii-Gen3は、エイブリックに譲渡されてから初の製品になる。
従来の据え置き型超音波機器は、基本的に病院の検査室でしか使えないが、ハンドヘルド型はどこでも使え、スマートフォンやタブレット、PCで映像をすぐに確認できる。救急現場や在宅診療、スポーツドクター、動物病院など、今までと違う領域での採用が増えていて、エイブリック担当者によると「年平均成長率(CAGR)約20%で市場が拡大している」という。
「据え置き型はある程度プレイヤーが決まっているが、ハンドヘルド型は群雄割拠の様相を呈している。viewphii-Gen3では据え置き型のローエンドモデルに匹敵する性能を実現した。2027年春にA3Eチップの量産を開始し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の認証を受けてからの販売になるが、2030年までに50億円の売り上げを目指している」(エイブリック担当者)
パルサーLSIは人体を見るのに十分な性能を確保できているため、今後は画像処理LSIの性能向上を進める。「画像処理LSIを進化させて高画質化を図るとともに、機能をより拡張すれば、据え置き型のミドルレンジモデルと同等の性能を実現できる見込みだ」(エイブリック担当者)
ウェアラブル機器開発のヒント スイッチの設計制約、どう解決?
出力電圧精度±0.1%の車載シャントレファレンスIC
電源回路を20%縮小可能 エイブリックの車載カメラ向けPMIC
48V補機バッテリー対応の高耐圧LDO、エイブリック
低ノイズ、高速応答 民生/産業機器用リニアホールICCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング
コーナーリンク