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» 2006年05月01日 00時00分 公開

ノイズ・歪みを考えた高速アンプの賢い選択法(2/3 ページ)

[Jeffrey Lies/Tamara Papalias,/Mike Wong(米Intersil社),EDN]

オペアンプノイズの計算

 図4は、フィードバックのあるオペアンプの典型的なノイズモデルを示している。図には、外部のフィードバック抵抗およびゲイン抵抗のジョンソン・ノイズ電圧を含めて、ノイズ源となる可能性のあるものすべてが含まれている。抵抗ノイズ源が周波数によって変化しないのに対し、オペアンプの電圧および電流ノイズ源は周波数に依存する。そのため、オペアンプのデータシートには、入力電圧ノイズおよび入力電流ノイズのグラフが示されている。


図4このフィードバックのあるオペアンプの典型的なノイズモデルには、外部のフィードバック抵抗およびゲイン抵抗のジョンソン・ノイズ電圧を含め、ノイズ源となり得るものがすべて含まれている。 図4 このフィードバックのあるオペアンプの典型的なノイズモデルには、外部のフィードバック抵抗およびゲイン抵抗のジョンソン・ノイズ電圧を含め、ノイズ源となり得るものがすべて含まれている。 
表1 オペアンプにおける代表的なノイズの種類 表1 オペアンプにおける代表的なノイズの種類 

 オペアンプの最も代表的な2つのノイズは、フリッカノイズとホワイトノイズである。フリッカノイズは、その影響が周波数に反比例することから、1/fノイズとも呼ばれ、低周波領域で発生する(CMOS設計では数MHz未満、バイポーラ設計では数kHz未満)。ホワイトノイズは、バイアス電流によるショットノイズと、デバイス内の抵抗や他の回路構成によるジョンソン・ノイズの影響からなる。ホワイトノイズは周波数に対する振幅特性が平坦なため、中および高周波領域で発生する。表1に、ノイズの種類と、その数式を示す。

 通常、ノイズ量は入力換算値で示される。つまり、提示された値は、入力に対して回路出力にノイズを引き起こす量である。例えば、ノイズ源がアンプの出力側に存在する場合は、その値を閉ループゲインで除算し、入力値に換算する。同一ノードにすべてのノイズを換算することで、いろいろなノイズの影響の比較や合成が容易になるというわけだ。

表2 ノイズ量/ノイズ源 表2 ノイズ量/ノイズ源 

 図4のアンプの例についてノイズ源を計算できる(表2)。比較のため、すべてのノイズ源を電圧で表している。表の3列目には、個々のノイズ源の電圧ゲインが示されている。

 ノイズはランダムに変動する。ノイズ源の平均電圧は、正弦波と同様にゼロである。しかし、平均電力はゼロとはならない。したがって、複数のノイズ源の影響を求めるには、各ノイズ源の電力を加算して総電力を得る。以下の式に示すように、ノードにおいて、電力Pは電圧Vの二乗に比例し、抵抗Rに反比例する。

P=I・V=(V/R)・V=V2/R

 すべてのノイズ源を同一ノードに換算すると、回路全体で同じインピーダンスが得られる。その値を用いて総ノイズ電力を算出することができる。総電圧を求める場合は、この方程式を逆にすればよい。つまり、Pと、IまたはRを与えて、Vを求める。

 表2のノイズ源には相関関係がないため、前述のように合計できる。同一ノイズ源からのノイズや、独立した異なるノイズ源であっても互いの動作に関連がある場合には、相関ノイズが生じる。相関のあるノイズ源からのノイズの動作は互いに関連するので、単純にノイズ源の電力を加算するわけにはいかない。

VFA、CFAのノイズ解析

 VFAとCFAのノイズの違いは、入力段(図1および図2)の構成上の違いを比較すれば理解できる。VFAの入力構造は差動対である。したがって、バイポーラ技術では、入力は、pnpまたはnpnトランジスタ、あるいはその両方のベースに接続する。これらのノードを流れる電流は小さなベース電流である。ノイズ電流はベース電流に比例するため、VFAでは入力ノイズ電流が低くなる。

 一方、CFAでは、2つの入力が全く異なる構造に接続される。非反転オペアンプ入力は、バイポーラ・トランジスタのベースに接続しているため、そのノイズ電流はVFAの入力と変わらない。逆に反転オペアンプ入力は、バッファ出力、通常ではnpnおよびpnpエミッタとなる。エミッタ電流は、ベース電流よりもかなり大きいため(電流ゲインβ倍となる)、ノイズもそれに比例して高くなる。VFAの入力ノイズ電流の範囲が通常1p〜5pA/√Hzであるのに対し、CFA反転入力ノイズ電流は、通常20p〜30pA/√Hzの範囲となる。

表3 VFA、CFA、CMOS回路のノイズ量の標準値 表3 VFA、CFA、CMOS回路のノイズ量の標準値 

 フィードバック抵抗RFは、この大きなノイズ電流を電圧に変換する。入力換算ノイズ電圧はより複雑なパラメータである。入力トランジスタ(主にトランジスタのベース抵抗とコレクタ電流)だけではなく、入力段が駆動する負荷の種類に依存した関数となる。一般的に、CFAの入力ノイズ電圧は、少なくとも低ノイズに最適化されていないVFAと同じくらい低いといえる。表3に、VFA、CFA、さらに比較のためにCMOSアンプの典型的なノイズ電流および電圧を示す。

 VFA回路は、入力電圧差に対する感度に関して最適化されている。そのため、3つの中で電圧ノイズの影響は最も低い。各端子へのベース電流が小さいため、2つの入力における電流ノイズはいずれも低い。CFAでは、フィードバックノードに、ベース電流ではなくエミッタ電流が流れる。この電流が大きいため、その電流ノイズも当然大きくなる。

図5この簡略化したCMOSオペアンプでは、両方の入力がMOSFETゲートに接続しているため、電流は実質的にゼロとなる。したがって、電圧のみで出力信号が決定するため、アンプの入力電流ノイズのレベルは低い。 図5 この簡略化したCMOSオペアンプでは、両方の入力がMOSFETゲートに接続しているため、電流は実質的にゼロとなる。したがって、電圧のみで出力信号が決定するため、アンプの入力電流ノイズのレベルは低い。 

 CMOSの入力は、純粋に容量性である(図5)。ここでも入力は差動対である。入力は両方ともMOS FETゲートに接続されるので電流は実質的にゼロとなる。そのため、電圧が出力信号を決めるため、CMOSアンプの入力電流ノイズレベルは低い。CMOSの入力電圧ノイズはやや高いが、それでも他の2つの場合と同じ桁数の範囲内に収まっている。したがって、トランスインピーダンスアンプのように電圧ゲインが低い場合は、ノイズの高さは問題にはならない。CMOSアンプの欠点は、1/fノイズのコーナー周波数がデバイスチャンネルの長さに反比例する点である。つまり、プロセスが微細になるほど、1/fノイズのコーナー周波数は高くなってしまう。

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