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» 2006年05月01日 00時00分 公開

ノイズ・歪みを考えた高速アンプの賢い選択法(3/3 ページ)

[Jeffrey Lies/Tamara Papalias,/Mike Wong(米Intersil社),EDN]
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VFA、CFAの歪み特性

 低周波領域ではVFAの歪みが最も小さい。差動対入力段がシーソーのような働きをするからである。オペアンプが負のフィードバックを受けた場合は、シーソーを水平にするように働く。図6に、典型的なCFAおよびVFAのデータシートから歪み値を示す。もちろん、市場に出ている製品がすべてこの曲線通りというわけではない。機器に適用する前にアンプのデータシートを参照してほしい。

図6(a)はCFA、(b)はVFAの典型的な2次および3次高調波歪み値のグラフ。 図6 (a)はCFA、(b)はVFAの典型的な2次および3次高調波歪み値のグラフ。 

 CFAにおいて、非反転入力では電圧、反転入力では電流を入力する。シーソーの効果はここにも存在するが、それはVIN+が電流に変換されてから後のことである。この変換は十分ではなく、エラーが2次高調波歪みとして現れる。さらに高い周波数領域では損失はほとんどスルーレートの制限によるものである。CFAのスルーレートはVFAよりも高いため、高周波領域における歪みは少ない。また、CFAでは、ゲインの設定を変えても歪みが比較的一定に保たれる。

 xDSLシステムでは、通信信号は2万フィート(約6.1km)もの長さの電話回線を伝送する。受信信号は、バンド幅4MHzで30mVというほど小さい場合もある。この信号を増幅するには低ノイズアンプが必要となる。低周波送信信号から高周波ノイズを除去するためのフィルタリングも必要である。

 回線の受信側の閉ループゲインは少なくとも30V/Vでなければならず、ドライバのフロントエンドのA-Dコンバータの分解能は14ビット必要である。14ビットA-Dコンバータを最大限に活用するには、入力SNR(信号ノイズ比)が84.3dBより大きくなければならない。例えば、入力信号が20mVの場合は、ノイズレベルは1.2μV未満である必要がある。アンプの入力電圧ノイズの上限値は、バンド幅4MHzに対して0.9nV/√Hzである。この場合は、VFAが最適である。それは、入力電圧ノイズが低いからだけではなく、VFAがアクティブフィルタをより柔軟に構成できるからだ。

A-Dコンバータを駆動

 特にパルス入力の場合、CFAは高速で高分解能なA-Dコンバータの駆動に適している。この応用において、CFAの顕著な利点は、出力ステップの大きさに関係なく、出力の立ち上がり時間がほぼ一定だという点である。立ち上がり電流は過渡時の反転入力電流に等しく、RFを横切る電圧差の関数となる。したがって、実際には、CFAのスルーレートはステップが大きくなると高くなる。VFAにおいては、1V未満の電圧幅でスルーレートの限界に達してしまうのに対して、CFAでは通常、数V未満のステップに対してはスルーレートの限界に達することはない。

 スルーレートに関する長所に加え、CFAはバンド幅(バンド幅が総ノイズに影響することには変わりがないので注意)や歪み、セトリング時間に優れている。また、供給電流が比較的低いため、A-Dコンバータのドライバには最適である。例えば、「EL5166」は、バンド幅1.4GHz、スルーレート6000V/μs、20MHzにおける2次高調波歪み70dBで、14ビットA-Dコンバータの駆動に適している。通常、A-DコンバータのドライバではCFAフィードバックネットワークの負荷は問題にならない。この特性を利用して、安価なフィードバック抵抗で、ノイズを極力抑え、ドライバの性能をできる限り上げることができる。

トランスインピーダンスアンプ

図7 フォトダイオードに利用される高速トランスインピーダンスアンプの重要な要素の1つは、反転入力における容量(ダイオードや、アンプ入力、寄生容量を含む)である。 図7 フォトダイオードに利用される高速トランスインピーダンスアンプの重要な要素の1つは、反転入力における容量(ダイオードや、アンプ入力、寄生容量を含む)である。 

 バンド幅が広く、入力バイアス電流および入力ノイズ電流が低いことから、最新の高速CMOSアンプは、フォトダイオード・トランスインピーダンスアンプに理想的である。トランスインピーダンス設計における重要な要素は、反転入力の容量(ダイオード、アンプ入力、および寄生容量を含む)や、RFにより設定されるトランスインピーダンスゲイン、広いダイナミックレンジを得るための低入力電流ノイズ、十分なゲインバンド幅をもつことである(図7)。これら4つの変数を設定した上で周波数応答を制御し、安定性を確保するためにRFと並列にフィードバック・コンデンサが必要となる。

 アンプがレール・ツー・レールで、単一電源の場合は、非反転入力をグラウンドに接続すると、フォトダイオードに全く光があたっていない時には出力を真にゼロすることができる。これにより、回路において、出力が負レールを通らなければならない場合の遅延をなくすことができる。

 最適な性能を得るためには、以下に挙げるガイドラインに従って部品を選択するとよい。

  • システム全体のノイズを低くするためには、適当なRFを選択し、必要なトランスインピーダンス段のゲインを得るようにする。

 CMOSアンプでは実質的には電流ノイズがないのでトランスインピーダンス段のノイズを下げるためRF値を低くする。このためゲイン段が必要となり、全体としてのノイズ性能は低下してしまう。信号値は線形に増えるのに対し、RFが生成するノイズは抵抗値の平方根に比例して増える。したがって、必要なゲインをトランスインピーダンス段に持たせると、SNRは向上する。

  • 反転入力における容量を極力小さくする。

 この容量はオペアンプの電圧ノイズを増幅してしまう。フォトダイオードに逆バイアスをかける低ノイズ電圧源を利用すれば、その容量をかなり減少させることができる。フォトダイオードは小さいものほど容量も小さい。光学系を利用して光を集め、フォトダイオードを小さくするとよい。

  • バンド幅が増加するとノイズも増えるため、回路のバンド幅を必要最小限にする。

 バンド幅を制限するには、安定性に問題がなくてもフィードバック抵抗をコンデンサと並列にするとよい。

  • 上手な設計のアンプでも、プリント回路基板上のリーク電流は、性能劣化につながる。

 基板をていねいに拭くとよい。プリント回路基板のガード用配線で加算接続部(反転入力)を囲み、加算接続部と同じ電圧で駆動するとリーク電流を減らせる。

 CFAもVFAも、高速アプリケーションでよく利用されている。回路構成の違いと、基本的なノイズおよび歪みの特性を理解することが、最適な製品を選択するための重要な鍵となる。表4は、上述の内容と例をまとめたものである。

表4 オペアンプの回路構成/特長/用途の概要 表4 オペアンプの回路構成/特長/用途の概要 
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