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高速シリアルバスの差動スキュー(2/3 ページ)

» 2007年01月01日 00時00分 公開
[Arnold Frisch(米WarpSpeed Chips社),EDN]

イコライザ

 図3に示したのは、“アナログFIRフィルタ”として実現したイコライザである。例えば周波数が5GHz以上になると、周波数に依存した誘電損失がプリント基板配線に現れるが、図3のような回路を用いることでイコライズすることができる。それと同時に、信号線に任意の値のスキューを付加することも可能である。図4に、スキューの影響を確認するためのシミュレーション結果を示した。入力にスキューがない場合、連続する12UIにおいて、ISIは最小で出力振幅は最大となる(図4(a))。しかし、スキューが少しでも存在すると、ISIも出力振幅も著しく劣化する(図4(b)(c))。


図3 イコライザ回路の概念図 図3 イコライザ回路の概念図
図4 スキューを付加したシミュレーションの結果 図4 スキューを付加したシミュレーションの結果 入力にスキューがない場合、連続する12UIにおいて、ISIは最小で、出力振幅は最大となる(上の画面)。一方、20ps(中央の画面)、30ps(下の画面)のスキューが存在する場合、ISIも出力振幅も著しく劣化する。

 配線の長さが完全に一致していても、スキューがまったく発生しないとは限らない。ケーブルからプリント基板の材料に至るまで、各種資材の誘電率は均一ではなく、それにより完全に長さが一致した数インチの配線でもスキューが生じ得る。主な例として、G10などのガラスエポキシ樹脂が挙げられる。グラスファイバとエポキシ樹脂の誘電率は異なるため、グラスファイバをプリント基板上の導線に対し任意の位置に配置すると、差動スキューを抑制することはできない。このスキューは、4インチ(約10cm)の配線で最大25psにもなり得る。

 スキューを抑える方法としては、実際にスキューの値を測定し、その測定値と同じ大きさで逆方向のスキューをその配線に付加するというものがある。ただし、これには多大なコストがかかる。値が正確に分かっている差動遅延のライブラリを作成するには、膨大なテスト時間と、数多くの種類の配線を作成/測定/分類する作業が必要になるからだ。

 より現実的な方法は、差動スキューを検出し、一方または両方のパスの遅延を補正してスキューをゼロに近づけることである。この方法の場合、スキューの検出と遅延(スキュー)の補正という2つの作業が必要になる。以下では、これら2つについて順に説明する。

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