装置のメインの制御回路から、5mほども離れた個所に配置されたプッシュボタンスイッチ(以下、スイッチ)の状態を検知したいことがある。このようなケースであっても、スイッチの数が1個であるなら容易に対処できる。つまり、適切な定電流電源を設計し、それとスイッチとを配線して、その配線に流れる電流を監視すればよい。スイッチが押されていれば電流が流れ、そうでなければ流れない。
しかし、スイッチが2個またはそれ以上の数になった場合には、対処が少し煩雑になる。具体的な方法としては、次のようなものが考えられる。まず、2線式のRS-485インターフェースを使用して、2本の配線で状態を検知するための通信を行い、別の2本の配線で電源を供給するという方法がある。あるいは、PoE(Power over Ethernet)を利用し、4本の配線を通信用と給電用に使う方法も考えられる。これらの方法は、いずれもスイッチの状態を検知する回路や制御用の回路を必要とし、プログラムも必要になるため、複雑化、高コスト化が避けられない。
本稿で紹介するのは、スイッチの接続部にダイオードを配置することで、長い配線の本数を抑え、簡素な構成でスイッチの状態を検出可能にする回路である(図1)。この回路では、ダイオードD1、D2によって電流の向きが決まり、5mにも及ぶ長い配線は2本だけで済む。
この回路の動作は次のようになる。まず、トランスの2次側に接続された2つのスイッチのうち、S2が閉じられたとしよう。その場合、トランスの13番端子出力が正になるサイクルに、フォトカプラIC1、抵抗R1、ダイオードD2を経由して電流が流れる。その結果、フォトカプラIC1の出力DOUTS2がローになる。一方、スイッチS1が閉じた場合には、トランスの9番端子出力が正になるサイクルにおいてダイオードD1、抵抗R2、フォトカプラIC2を経由する電流が流れ、出力DOUTS1がローになる。これらの出力DOUTS1、同DOUTS2のハイ/ローの動きにより、スイッチの状態が検出できる仕組みである。
図2に、スイッチが4個の場合に、この方式を適用した例を示しておく。
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