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キャンプ場などで侵入者を検出する警報回路Design Ideas

» 2010年09月01日 00時00分 公開
[Vladimir Oleynik (ロシア),EDN]

 図1に示す回路は、ワイヤーによって区切られた境界を越えて誰かが侵入しようとし、そのワイヤーが切断されると、警報を発するというものである。ワイヤーとしては、適当な長さの細い銅製のものを使用する。これには、不要になったリレーのコイルなどを利用できる。十分に細いワイヤーであれば、キャンプ地の区画やテントなどの周りに張り巡らしても、暗がりや草に紛れて目につくことがない。


図1侵入者の検出回路(その1) 図1 侵入者の検出回路(その1) キャンプ地の区画やテントの周りで使用することを想定したものである。ワイヤーが切れると、LEDが点滅して警報ブザーが鳴る。
図2侵入者の検出回路(その2) 図2 侵入者の検出回路(その2) 図1の回路にpチャンネルMOSFET(Q2)を追加することにより、スタンバイモード時の消費電流を削減できる。

 銅製のワイヤーならば、その抵抗値は回路に使用している200kΩの抵抗に比べてはるかに小さい。これら2つの抵抗成分が分圧回路を構成することで、MOSトランジスタQ1がオフに保たれる(以下、この状態をスタンバイモードと呼ぶ)。スタンバイモードにおいて、人間や動物といった侵入者がワイヤーを切断すると、トランジスタQ1がオンになりブザーが鳴動する。この場合、まず自動点滅型LED(L-36BID)が点滅動作し、それによってQ1が制御される。ブザーも、LEDのスイッチング周波数で鳴動することになる。仮に長大なワイヤーを使って、その抵抗値が33kΩもの大きさになったとしても、この回路は正常に機能する。

 この回路は、4.8Vという低い電池電圧でも動作可能である。スタンバイモードでは、電源電圧が9Vの場合でも50μA以下の電流しか消費しない。ブザーが鳴るときには、9.6Vの電池を使用している場合で約30mAの電流を消費する。なお、この値は電池の消耗(電圧の低下)に連れて減少する。

 この回路の実験を行ってみたところ、次のような結果となった。まず電池としては、ドイツVarta社のアルカリ電池「Longlife Extra」を使うことにした。新品のときの電池電圧は9.6Vである。スタンバイモードで24時間の連続動作を行い、毎日10秒間だけブザーを鳴らすようにした。このような条件において、1日当たりの電池電圧の低下は0.02Vとなった。この実験結果により、電池電圧が新品時の9.6Vから動作下限値の4.8Vに低下するまでの期間は約8カ月間と見積もることができる。ブザーが鳴ることが滅多になければ、電池は数年間にわたって使用できると考えられる。

 図2に示した回路は、図1の回路を改良したものである。pチャンネルMOSFETのQ2を追加することで、スタンバイモードにおける消費電流を0.5μA以下に低減している。このことから、より長いワイヤーの使用が可能になるので、より広い範囲で侵入者の検出が行える。具体的には、ワイヤーの抵抗値が3.3MΩまで高くなったとしても問題なく動作する。利用可能なワイヤーの長さは、その線径と銅の抵抗値から計算できる*1)

脚注

※1…"Reference & Information, AWG Cable Description," American Wire Gauge


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回路 | LED | MOSFET | トランジスタ


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