電動システム以上に充実していたのが、EV用充電器に関する展示だ。特に急速充電器については、新規参入の企業を中心に多くの新製品が見られた。
富士電機システムズは、EV用急速充電器の新製品を展示した(写真7)。定格出力電力が50kWの品種で200万円という低価格を実現したことを特徴とする。年間販売目標台数は、出力50kW以外の品種を含めて2010年度が100台、2011年度が1000台である。
ニチコンは、太陽光発電システムや蓄電デバイスと組み合わせて利用する急速充電器を紹介した(写真8)。太陽光発電システムで発電した電力を蓄電デバイスに充電しておくことにより、EVに急速充電する際には蓄電デバイスの電力を利用することで節電が可能になる。
菊水電子工業は、定格出力電力が50kWのEV用急速充電器「Milla-E50」を展示した(写真9)。2010年12月の発売から1年間での販売目標台数は80台。価格は320万円となっている。小型であることを特徴としており、「同等の機能を持つ競合他社の製品と比べて幅は半分程度。設置面積は約30%少なくて済む」(同社)という。
JFEエンジニアリングと安川電機は、それぞれ電源装置と充電スタンドを分離したタイプのEV用急速充電器を紹介した。まず、JFEエンジニアリングの「RAPIDAS」(写真10)は、電源装置に、電力変換回路だけでなく容量30kWhのリチウム(Li)イオン電池を内蔵することを特徴としている。「出力50kWの急速充電器を設置するには、50kWに対応した変電設備の導入と電力会社との契約が必要になる。RAPIDASでは、Liイオン電池に充電した電力を利用することにより、変電設備や電力会社との契約を既存の20kWのもので済ますことができる」(同社)という。
一方、安川電機の「Enewell-CEV」は、定格出力電力が50kWの電源装置に充電スタンドを2台まで接続できる構成となっている(写真11)。価格は、充電スタンドが1台の場合で360万円、充電スタンドが2台の場合で490万円。2011年度の年間販売目標台数は100台。
福西電機は、通常充電器の管理システム「パ・チャ・ポ」の展示を行った(写真12)。システムの価格は50万円。電力の計測/制御ユニットや、パナソニック電工製もしくは内外電機製の充電スタンドなどと組み合わせて販売する。1システムにつき、32台の充電器を接続することができる。充電スタンドに組み込んだICカードユニットを用いて、利用者の個人認証を行うことが可能だ。
矢崎総業は、EV用急速充電器のコネクタの軽量化検討モデルを参考出品した(写真13)。コネクタのボディ材料を、従来の金属から樹脂に置き換えることで、約14%の軽量化を実現した。
沖電線は、EV用急速充電器の充電器本体と充電コネクタをつなぐケーブルの新製品を展示した。EVに電力を送る給電用の導体とケーブルを被覆する樹脂として柔軟性の高い材料を採用することにより、従来品と比べてケーブルの柔軟性を大幅に高めている(写真14)。同社は、「ケーブルを曲げるときに必要な力は、従来品と比べて30%少なくて済む」としている。
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